【帯広市】2014年夏にギネス世界記録を樹立した顔はめパネル(詳細はこちら)。その舞台となった場所(緑ヶ丘公園グリーンパーク)には、かつてギネスブックにも掲載された世界一長いベンチがあります。全長400m、歩いても5分以上かかるという長いベンチです。
帯広にも世界に誇れる名物を、と企画し実現した400mベンチ
緑ヶ丘公園は、面積50.5ヘクタールもある総合公園です。動物園や文化施設もあることで知られています。北東に広がるグリーンパークは、約8ヘクタールの全面芝生になっています。そのグリーンパークの西側のカラマツ並木に沿って一直線に設置されているのが、噂の400mベンチです。[地図]
グリーンパークが整備された1978年から、およそ3年後の1981年7月19日に、400mベンチは誕生しました。設置から30年以上の歴史を持っているベンチということになります。
400mベンチはなぜ生まれたのでしょうか。当時の帯広市の助役が1980年にスイスを訪れた際に、全長126mの当時世界一だった長いベンチを見て触発されたのが始まりです。帯広にも世界に誇れる名物をと、帯広市が600万円をかけて設置することになり、1981年6月初旬から土台工事、7月12日から市民ボランティア300人で背板の取り付けが行われました。
こうして完成した400mベンチでは、同年7月19日に完成記念フェスティバルを開催。その際に何人が座れるかの挑戦も行われ、集まった市民約5,000人のうち、1,282人が同時に座り、世界最長のベンチの誕生を祝いました。ちなみに、この同時着席人数の記録も当然ながら世界一でした。この様子は、翌日付の地元紙、北海道新聞、朝日新聞で報じられました。
あっという間に破られた世界記録
こうしてギネスブックに掲載された帯広の世界一長いベンチですが、世界一の座は長くはもちませんでした。6年後の1987年3月29日、石川県富来町のサンセットヒルイン増穂に全長460.9mのベンチが出現したのです。その後、2011年8月28日に全長653mのベンチが富山県南砺市に完成し、現在も日本一長いベンチの座を守り続けています。帯広の400mベンチは日本で3番目に長いベンチになりました。
記録が塗り替えられたことで、帯広市としても、記録更新のため400mベンチを延長する声もあったそうですが、結局実現はしませんでした。完成から10年以上経過した1994年には、帯広平原ライオンズクラブが老朽化したベンチの全面改修を実施。現在も維持管理が行われています。
歩いてみたら5分以上もかかる400mベンチ
グリーンパークを訪れてみると、どこまでも続きそうな一直線の茶色い木製ベンチを見ることができます。市民の憩いの場として、グリーンパークで遊ぶ子供たち、犬の散歩中の市民などに利用されています。座ってみると、グリーンパークの広大さがわかります。
400mだからと侮るなかれ。端から端まで走れば1分ほどですが、歩いてみると5分半かかります。あまりにも長いのでベンチの向こう側に行くのに遠回りしなければいけないのかと思いきや、ベンチには数か所、蝶番の仕掛けが施されていて、通り抜けることができるようになっています。背板も部分的に設置されています。
冒頭で述べた顔はめパネルのギネス世界記録への挑戦は、このベンチに沿うような形で行われました。一方はかつての世界王者、もう一方は新たに誕生した世界王者。分野は違うものの、まさに新旧のギネス世界記録が並んだ瞬間でした。緑ヶ丘公園グリーンパークは世界記録の舞台としてこれからも語り継がれていくことでしょう。
▼400mベンチを端から端まで歩いてみたら5分半かかった ※モデル:竹中里佳