【平取町】平取に巨大な「トトロ」がいる! と聞きつけやってきたのは、平取町北部の岩知志(いわちし)小学校跡地。[地図] 平取町市街から国道237号線を富良野方面に車を走らせると、左手にそれはあります。目・鼻・口をつけた巨大な木は、まさにあの「トトロ」そっくり。国道を通りがかる観光客らを楽しませています。
木のフォルムがトトロそっくりだった
巨大な「トトロの木」はヒバの木で、高さ10m弱ほどになります。2012年7月、この地で無農薬無肥料の自然栽培を手がけるNPO法人「さくらぎ百姓応援団」の中泉盛行代表が、「木のフォルムがトトロに似ている」と、ふと気づき考案。トトロに似せて目・鼻・口・耳を作り、木に取り付けました。
同法人の一員で、この地に移住して地域おこし協力隊の一人としても活動している畠山隆之さんによると、目は、目の玉を黒く塗った円形のコンパネを使用。ビニールで口を表現し、鼻の部分はなんと腰掛椅子を使っています。耳は風で飛んで行ってしまい、高所作業車でもつけられなくなりましたが、それでもトトロそっくり。毎年4~5月にそれぞれの部位を付け替えており、畠山さん曰く、トトロの顔が年々南側に移動しているようです。
ヒバの木は落葉樹ではないので、冬でもその姿を拝むことができます。国道沿いで目立つこともあり、写真を撮っていく人も多いといいます。
トトロの木の前を観光拠点に! 膨らむ夢
「トトロの木」がある岩知志地区は、約40世帯(2010年国勢調査)という小さな集落で、人口減少と高齢化という問題を抱えています。一方で、特産品のトマトが生産されているほか、地元の女性たちで構成する岩知志加工クラブが他に誇れる美味しい豆腐やみそを製造しているという、特筆すべき一面もあります。
畠山さんはこうした岩知志の魅力に着目。地元の人たちとの連携を模索しながら「トトロの木」前を観光拠点にしていく構想を持っており、その準備を着々と進めています。2015年夏には、地元産野菜などを販売する直売所を開設したい考えで、その後はカフェの開設も視野に入れています。ゆくゆくは夫婦で地元の食材を使ったものを提供していきたいそう。
ランドマークとなりつつある「トトロの木」横には、猫バスのデザインに塗装した廃バスを設置する構想も持っています。NPO法人としては、水田と大豆の畑を用意し、無農薬による農業体験を受け入れています。「観光農園としても今後活動の幅を広げていきたい」と畠山さんは話します。
トトロワールド拡充に、カフェや直売所、観光農園に観光拠点――。「若い人たちの力で岩知志の人たちを元気にしてあげたい」との想いは強く、この地でやりたいことの夢は膨らみます。その序章が「トトロの木」といえるのかもしれません。「トトロの木」を中心とした新たなスポット作りに、今から期待が高まります。