函館山の裏側ってどうなってるの!?「漁船クルーズ」で未知の世界へ!

【函館市】「函館山」と聞いてまず道外の人が思い浮かべるのは、函館山からの夜景でしょうか? 函館やその周辺に住んでいる人、何度か訪れたことがある人だったら、「臥牛山」と呼ばれる、牛が寝そべっているような横に長い山並みが浮かぶかもしれません。その函館山の「裏側」って、どんなふうになっているのでしょうか!?

実は、函館山の裏側の表情や、意外と知られていない歴史の名残りを漁船に乗って見にいく約1時間の「函館 漁船クルーズ」(1人2,500円、2人から催行)という存在があります。漁師さんがガイドをしてくれるこのクルーズを体験してきました。

好転した天気の下、乗船決定

数日前から取材日のご相談していたところ、前夜からの雨が少し残る朝、主催者の「函館観光コンシェルジュセンター」の担当者の方からご連絡が入りました。お昼ごろには晴れ間も広がりそうだとのことで、午後3時の乗船が決定。次第に晴れた空には、少し多めの雲。それが逆に、青空を表情豊かに演出しています。あとは波が高くなければいいなと、期待が膨らみます。

西風が少し強い中、函館漁港を出発

西からの風が少し強く、多少揺れを感じながら、「白姫丸」に乗って函館漁港を出発。函館の発展を支えてきた漁港です。船長は、73歳のベテラン漁師、斉藤孝志さん。

▼「白姫丸」と、ベテラン漁師・斉藤孝志さん


函館山の西側、船見町の外国人墓地の辺りを海から眺めるのも新鮮。外国人墓地の下方は穴澗海岸。陸路だと、現在は営業していない喫茶店のある地点から向こうは、立ち入り禁止。東日本大震災でがけ崩れが起き、通行止めになっているそうです。夕日が非常に美しい穴場スポットで、ここまでは私も車で来たことがありますが、それより先は未知の世界でした。

▼外人墓地と穴澗海岸

穴澗海岸の洞窟、集落跡地

穴澗海岸にはその名の通り、ポッカリと空く洞窟があります。斉藤さんによると、大昔の火山活動によるものと推定され、中には「穴澗大明神」が祀られているとのこと。その洞窟の前にはかつて吊り橋がかかり、岩壁沿いには人の通り道や手掘りのトンネルがあったそうです。

▼洞窟のある穴澗海岸

▼穴澗海岸脇、海面近くに手掘りのトンネル

誰が通っていたのかというと、穴澗海岸の先にあった寒川という集落の人々。明治時代に富山県から入植してきた人々の集落で、岩壁沿いの道は子どもたちの通学路にもなっていたといいます。しかし、1954年の洞爺丸台風で壊滅的な被害を受けたこの集落は、ほどなく消滅したそうです。

▼寒川集落跡地

いよいよ函館山の最南端「大鼻岬」

函館山最南端の大鼻岬付近まで来ると、立待岬やそのさらに向こうには湯の川方面も1度に見ることができます。

▼大鼻岬

普段函館で暮らしていると、ふとした時にあちこちのスポットから見える函館山の姿に心がホッと落ち着きます。一方、見上げる大鼻岬のそそり立った岩がむき出しの山肌は、いつも見ている穏やかな函館山とは違いますが、函館の町を守ってくれるような力強い雰囲気は一緒でした。

青森方面が近くにくっきりと見えたこの日。斉藤さんが、「あちらが(下北半島の)尻屋崎、こちらが津軽半島。青森湾の入り口がはっきり見えるね。松前の白神岬が向こうだよ」と指差しながら話してくれました。

▼青森方面

▼松前・白神岬方面

帰りは函館漁港までに一気に戻ります。行きより波もなくなり、午後の穏やかな陽の光がきらめく美しい函館湾の光景。横長の函館山を目の前に見ていたら、腕を思いっきり左右に伸ばしたくなりました。そして、何度もこの海を行き来している斉藤さんが「この季節は本当に気持ちがいいねえ。エゾヤマツツジも咲いていて、いい感じだ」としみじみと語るのを聞き、その時を共有できたことがとても嬉しくなりました。

▼クルーズ終盤の函館湾

潮風に吹かれて函館湾、津軽海峡と四方の大地を眺めながら、海の町・函館の魅力を味わえるアクティビティ。春から夏のさわやかな陽気の函館に訪れたら、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先
函館観光コンシェルジュセンター 0138-26-0300
ウェブサイト。各アクティビティの詳細もこちらで