【木古内町・上ノ国町・江差町】2014年5月11日にJR江差線の木古内駅―江差駅間が廃線になってから1年と2日たった、2015年5月13日。木古内駅から江差駅を目指し、道道5号線を走りました。廃線から1年後の沿線の風景をお届けします。
廃止日の様子の取材リポート記事はこちら
木古内駅
2016年3月に北海道新幹線が開通予定の木古内駅。新幹線木古内駅が完成し、在来線の駅舎の改築、駅前広場の整備も進んでいます。在来線木古内駅の構内は、階段や天井に張られた木の香りが漂います。
木古内駅のホームに立ち、周辺の整備の様子を見た後、江差線廃線後の風景をたどり江差駅を目指す小さな旅に出ました。
▼北海道新幹線高架下で交わる江差線跡
渡島鶴岡駅跡
江差線の線路と、新幹線の高架が交わるスポットで新旧の交替に思いを馳せた後、渡島鶴岡駅跡へ。隣接の旧鶴岡小学校(2011年に廃校)は今年2015年3月、「木古内町郷土資料館(いかりん館)」に生まれ変わりました(オープン時の取材記事はこちら)。
同じく隣接する鶴岡公園には、江差線廃止の日に植樹された枝垂れ桜と記念碑。その隣りの「禅燈寺」は、仁王像のある山門と本堂の間を列車が通過する、撮影おすすめスポットでもあったそうです。この日は急に雨足が強まる中、山門の向こうに緑と白の江差縁が通過する様子を思い浮かべました。
▼隣接の鶴岡公園に廃線日に植樹された枝垂れ桜
▼撮影スポットだった禅燈寺
吉堀駅跡
吉堀駅跡は、黄色に緑の線の車掌室を改造した駅舎が、何だか微笑んでいるよう。雨足は強まりますが、遠くの空は晴れているのできっと天気は好転するはず!と信じて、次の神明駅跡に向かいます。
吉堀駅跡―神明駅跡
江差縁の区間で一番長かった吉堀―神明間。道道の脇に車を停められる広いスペースがあり線路上に続く木の階段があったので、線路の上に出てみました。この頃には雨がほぼ上がり、水分を含んだ木々の緑はより鮮やかになり、正に新緑の香りがふわっと辺りを包み込んでいます。
線路の上に立つとき思わず「列車に気をつけなきゃ」と思ってしまい、苦笑。それほど、今にも列車が走ってきそうな雰囲気に包まれていたのです。線路の上に立ち、線路の向こうに続いていく風景を眺めていたら、「スタンドバイミー」の気分に。
神明駅跡
雨もほぼ上がり、鶯の鳴き声が響き渡る神明駅跡一帯。たまたま、廃線後の代替バスである「函館バス 江差木古内線」に出会いました。木古内町の「キーコ」、上ノ国町の「カミゴン」、江差町の「しげっち」と、沿線の町のキャラクターが彩るかわいらしいバス。ここから乗る人はおらず、バスはゆっくり駅前の敷地を迂回して通り過ぎていきました。
函館バス江差営業所によると昨年10月から、江差ターミナル(木古内方面から見て江差駅手前)止まりだった路線が、江差高校前または江差病院前までに延びたそうです。これにより、1日に全体で30人ほどだった利用者が100人ほどに増加。通院や通学の貴重な足となっているようです。
湯ノ岱駅跡
列車交換が行われ駅員が常駐していた旧駅舎は、代替バスの待合室として使われています。不安定な天気の日だったので、バスの待合室の重要さを感じました。
廃止から1年後の江差線(木古内―江差)をたどる旅。後編では、湯ノ岱駅跡から江差駅跡までの区間をたどります。