国宝・中空土偶だけじゃない! 函館市縄文文化交流センターの見所とは?


【函館市】 函館市の噴火湾側、臼尻町にある『函館市縄文文化交流センター』。南茅部縄文遺跡群の出土品を中心に、北海道初の国宝に指定された「中空土偶」が有名ですが、どれだけの長い年月を経ても変わらぬ、親から子への強い愛情を感じる展示を見ることもできます。

同センターのホームページによると、数万年続いた氷河期が終わりを告げたのが1億5千年前。日本列島は気温の上昇につれて、四季に彩られていったそうです。1万年以上も続いた縄文時代。縄文の人たちの心を身近に感じながら、人がこの世で生を全うしていく中で大きなテーマとなる「死と再生」について、思いを巡らせることができる空間です。

▼左:南茅部縄文遺跡群の出土品を展示。▼右:秋に集めた食糧などを貯蔵したと見られる深さ3mに及ぶ土坑

▼左:縄文時代を象徴する漆糸製品の出土状況。▼右:漆糸製品の出土状況からイメージする縄文人

『カックウ』の愛称で親しまれる土偶


2007年に北海道初の国宝に指定された土偶。1975年夏、農作業をしていた主婦が発見しました。中が空洞の「中空土偶」は、南茅部の中空土偶ということで、『茅空(カックウ)』の愛称で親しまれています。中空土偶としては国内で最も大きいそうです。

館内の説明書きによると、土偶は破壊された状態で出土することが多く、カックウも、壊れないように調整された部分とそうでない部分があることが明らかになっています。破壊することで、逆に永遠性への思いが込められていると見られるそうですが、このようなことが、カックウが国宝に指定された後、市立函館病院でのCTスキャンでの調査によって読み取ることができたとは、縄文時代の人々もびっくり仰天することでしょう。

幼くして亡くなった命への思い「足形付き土版」


約6500年前、縄文時代早期の終わりに出土した、小さな足形がつけられた土版。誕生しても無事に育つことが難しかったであろう太古の昔、幼くして亡くなった子どもの手形や足形を土版に写し取り、家屋の中に吊るして亡き子をしのび、親が亡くなった時に墓に一緒に埋められたと見られています。

大きさは最小で6cm、最大で18cm。我が家の1歳の子どもの靴は、現在14cmサイズなので、土版の足形は、生後間もなくの赤ちゃんから3歳ぐらいの子どものものなのでしょうか。大型の石器やナイフなどが、方向や色の組み合わせに配慮した状態で、土版に添えられたような状態で見つかることから、土版への強い思いが読み取れるそうです。

縄文時代の子育てはどんな様相で、親たちは、子育てにどんな悩みを抱えていたのでしょうか?タイムスリップして縄文時代の親たちと話すことができたら、今時の子育てに喝を入れられたり、ハイテクな育児グッズを面白がられたりするかも、などと思いが巡ります。

縄文文化体験メニューも用意

同センターでは、カックウの顔や土笛、器などのミニチュア土器づくり、縄文編みのコースター、組みひもアクセサリー、ペンダントづくりなどの体験メニューも用意。センターから車を10分ほど走らせれば、竪穴住居や盛土を復元した大船遺跡で縄文ロマンに浸りながら、眼下に広がる噴火湾を望むことができます。遺跡に隣接する「函館市大船遺跡埋蔵文化財展示館」では、北海道・北東北の縄文遺跡群について、パネル等で紹介しています(開館期間:毎年4/20~11/12、9:00~17:00)。

▼大船遺跡

函館市縄文文化交流センター
・所在地:函館市臼尻町551-1
・TEL:0138-25-2030
・開館時間:9:00~17:00(4/1~10/31)~16:30(11/1~3/31)
・休館日:毎週月曜(祝翌日)、最終金曜、年末年始
函館市縄文文化交流センターホームページ
・函館市南茅部支所ホームページ