「〇〇八景」という言葉は多いですが、渡島管内森町の「鳥崎八景(鳥崎渓谷八景)」はそこまでメジャーではないかもしれません。しかし、渓谷の岩肌、ダム湖、そして最後に待ち受ける上大滝まで、見どころ満載! とりわけ秋になると、色づいた紅葉が渓谷の美しさを10倍くらいにまで引き上げてくれます。今回はそんな鳥崎八景の見どころを一挙ご紹介しましょう。
そもそも鳥崎八景とは?
森町といえばグルメはいかめし、景観としては噴火湾の海や秀峰駒ヶ岳に目がいきますが、今回紹介する鳥崎八景はもっと内陸側です。国道5号線から鳥崎川に沿って道道606号線を進んでいくと、鳥崎川河口から上流に約4㎞、国道分岐から約2㎞の地点から鳥崎八景が始まります。上流の上大滝まで、約8㎞の間に八つの景勝ポイントがあります。
八景の内容とは、(1)鳥地獄 (2)屏風崖 (3)二見ヶ滝 (4)獅子狭間 (5)虹懸巌 (6)駒ヶ岳ダム (7)新鳥崎大橋 (8)上大滝 の8つです。一つずつ紹介していきましょう。
1.鳥地獄(とりじごく)
国道5号線入口から約2kmのところにある第一の景勝ポイントです。地中から炭酸ガスが発生しているそうで、窒息死した鳥が確認されたことから、命名されました。景観としては目立って何かがあるわけではないため、八景の中で最も地味といえるかもしれません。看板は上流に向かって左手にあり、駐車場は特にありません。
2.屏風崖(びょうぶがけ)
鳥地獄から約500m進むと、いよいよ渓谷に入っていきます。その渓谷美をまず楽しめるのがこのポイントです。鳥崎川を挟んで向こう側(北側)に、高さ約100mにも及ぶ断崖が続きます。木々の間から岩肌が覗く景観は、プチ層雲峡ともいえる美しさがあります。ゴツゴツ岩マニアには生唾もの。路肩に看板と共に駐車帯があります。
3.二見ヶ滝(ふたみがたき)
屏風崖の看板から1㎞進むと、左手の崖に、岩肌を伝って流れ落ちてくる一つの滝があります。これが二見ヶ滝です。その名の通り二股にわかれた滝がみどころ。路肩に駐車できますが、カーブにあるので車の往来に注意してください。
4.獅子狭間(ししはざま)
二見ヶ滝から約1㎞進むと、カーブ右手に獅子狭間の看板が見えてきます。この看板のある岩こそがポイント。ただ、景観としてはもう少し進んで逆側からこの岩を望むのが良いでしょう。神楽を舞う獅子頭のような奇岩が道路と川の間にそそり立っています。その様子から命名されたとされています。駐車スペースは奇岩の下流側か上流側にあります。
5.虹懸巌(にじかけいわ)
獅子狭間から約1.5㎞先にある……とされているのがこの虹懸巌です。なぜこのような書き方をしたかというと、現在この5番目の景勝ポイントだけ行くことができないためです。森観光協会によると、落石危険のため車両通行止めとしており、徒歩でも危険なため行くことは控えたほうがよいとのこと。復旧の見通しは立っていません。なお、この先の6~8のポイントに向かえるよう、新道が整備されています。虹懸巌は、岩の麓に虹がかかることが多いため、そう命名されたそうです。
6.駒ヶ岳ダム(こまがだけだむ)
獅子狭間から約3㎞進むと、1984年に竣工した駒ヶ岳ダムに到着します。総貯水容量3,300,000m3、堤高43.6m、堤頂長72mのダム湖をあらゆる角度から楽しむことができます。ここもやはり渓谷の延長だった場所。湖岸では岩肌が見え隠れしています。湖面に移る紅葉も美しいです。かつて八景の旧6と旧7はこのダムの場所にあったようですが、ダム竣工と共に沈み、駒ヶ岳ダムと新鳥崎大橋が新6と新7になりました。なお、ダムの下流側には「緑とロックの広場」が隣接しています。
7.新鳥崎大橋(しんとりざきおおはし)
ダム湖にかかる一つ目の橋がこの新鳥崎大橋です。ダム管理事務所の駐車場から約500m進んだところにあります。この橋の上からはダム湖の景観をたっぷり楽しむことができます。なお、この橋の次は大盛橋、さらに上流にはもみじ橋がかかっており、秋にはこの橋の上からの景観もお楽しみください。
▼橋から上流を望む
▼大盛橋から
▼もみじ橋から
8.上大滝(かみおおたき)
いよいよクライマックス! 最後に待ち構えているのは滝です。新鳥崎大橋から約2㎞進んだ先、右手に看板と駐車スペースがあります。そこから急な崖を徒歩で5~10分ほど下っていきます。上大滝は落差約10m。アイヌも「ポロソー(大きな滝)」と呼んでいたそうです。紅葉時期の午前中であれば、滝の切れ目から太陽の光が差し込んでより美しく感じるはずですよ。
以上が鳥崎八景(鳥崎渓谷八景)でした。ここで紹介した看板のあるポイントの他にも、きれい!と感じる場所がきっとあるはずです。ご自身の目で確かめてくださいね。
秋の紅葉シーズンには、カメラマン御一行様や、団体バスで来た何十人もの高齢者が駒ヶ岳ダムから上大滝を目指して歩いていることがあります。また、上流に行くほど「ヒグマ出没注意」ですので、単独行動の際にはご注意ください。