余市町といえば、宇宙の町で知られています。なんで宇宙の町かというと、 ご存じ、毛利衛さんが余市町出身だから。
日本人初のNASA宇宙飛行士
毛利衛さんは1992年9月12日~20日に、日本人として初めて、アメリカ 航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士(正確には科学技術者)としてスペースシャ トル・エンデバー(ミッションNo50、飛行NoSTS-47、OV-105)に搭乗し宇宙 へ行きました。
日本人で初めて宇宙へ行ったのは別の人であり、また日本人でも日系米 国人がすでに宇宙に行っていたため、「NASA・スペースシャトルで日本国 民として初めて」という但し書きが付きます。
ちなみに、1986年1月28日に起きたスペースシャトル・チャレンジャー号 爆発事故により、1988年1月に予定されていたシャトルの発射が4年以上遅れ、 毛利衛さんの「日本国民初の宇宙飛行」ではなくなった、というエピソー ドもあります。
余市町によると、町出身の有名人は空を飛ぶことに関係していることが 多く、他にはスキージャンプ競技選手も輩出しています。
毛利さんの偉業をたたえて、出身地余市町では1998年4月に町随一の施設 として「余市宇宙記念館」を建設しました。第三セクターでの営業でした が、残念ながら債務超過により経営が悪化し、2008年12月に休館というこ とになりました。
余市町にはこんなスペースシャトルを屋上に設置しているところも
北海道と宇宙開発・実験
余市宇宙記念館は道内で最も有名な体験型宇宙関連施設ですが、道内に は宇宙開発にかかわる動きがみられています。
その代表例が、2002年に企業と北海道大学が共同設立したNPO法人 「HASTIC」です。日本語では「北海道宇宙科学技術創成センター」といい ます。HASTICは超小型低コストの「CAMUIロケット」を開発し、アメリカ からも注目されました。
十勝管内大樹町は航空宇宙に力を入れている自治体です。「北海道衛星」 という会社、2008年以来宇宙航空研究開発機構(JAXA)大樹航空宇宙実験場 を擁する「多目的航空公園」もあり、余市町に並ぶ宇宙の町といえるでしょう。
無重力実験施設
ちなみに、かつて空知管内上砂川町には世界一の地下無重力実験センタ ー(JAMIC)がありました。国家プロジェクトによる第三セクターとして、 1989年3月1日にオープン。微小重力環境創出装置は、10秒の無重力保持が 可能で、世界一とされていましたが、2003年に閉鎖されました。ここでは 日本の宇宙ステーションのための実験が行われてきました。
なぜこんな山の中の町に建設されたのか、その理由は炭鉱の町だったか ら。無重力実験施設をつくるには、カプセルを落下させるため縦形の穴が 必要です。旧三井砂川炭鉱跡の立坑710mを利用すれば、低コストで作れる というわけです。
前述のJASTICも、無重力落下実験塔を2004年、赤平市に造成しました。 しかし上砂川町の10秒に程遠い3秒間の無重力状態を作り出すだけです。