道外からやってきた人たちが驚くことのひとつに、道内のほとんどの公 園の芝生には自由に入ることができ、芝生の上を歩いたり、昼寝したりで きる、ということがあります。芝生に入っても怒られません(基本的には)。 また、芝生の葉の色が青々と茂っています。逆に、道民が道外に行くと、 とりわけ都心部で、芝生の周りに柵がめぐらされていて入れないのが驚きとなります。すべて とはいえませんが、全般的にそういう傾向があります。
北海道の芝生の種類とは?
芝生の種類について簡単に触れておく必要があります。日本の芝は、 日本芝と西洋芝の2つに大別されます。それぞれ生育条件が違います。
・生育気温:
(日本芝)23度~35度
(西洋芝)15度~25度
※西洋芝は冬型のもの。夏型西洋芝は日本芝とほとんど同じ)
・気温限界:
(日本芝)23度以下で生育停止、夏場の高温多湿(梅雨)もOK
(西洋芝)0度以下でも枯死しない、30度以上で夏枯れの危険
つまり、日本芝は寒い冬のある北海道にはもたず、西洋芝が適当という わけです。まとめると、西洋芝の冬型は、高温多湿に弱く、耐寒性に優れ ています。別の相違点としては、日本芝は冬季(11月~3月)には葉が黄色 くなっていくこと(枯死)が多いのですが、西洋芝(冬型)は積雪時期も含め て1年中青々とした葉を維持することができるのが特徴です。
日本芝は古くから本州では自生していたのに対し、西洋芝は明治時代か それ以降に北海道での植栽のために輸入されたのが始まりです。さて、西 洋芝の中でも特に丈夫で、道内でも多く使われている「ケンタッキーブル ーグラス」の葉の特徴は以下のとおりです。
・葉っぱの色が濃い目で青々としている
・葉っぱは柔らかめ
・葉っぱが細い
・それなのに丈夫で踏まれても回復が早い
・葉っぱに艶がある
デメリットもあります。それは夏場の管理です。高温多湿に弱いので 夏枯れや病害に注意します(農薬散布あり)。さらに、伸びるのが早いため 日本芝に比べて刈り込み回数が多いようです。雪のない季節はほとんど刈 り込み作業をしなければなりません。
西洋芝の冬型は北海道と東北3県、本州の山岳地帯の一部で使われていま すが、そのほとんどが北海道です。道内では、先に触れたケンタッキーブ ルーグラス(ブルーグラス系)のほか、クリーピングベントグラス(ベントグ ラス系)、ファインフェスク(フェスク系)があります。ちなみに、本州のほ とんどでは日本芝の高麗芝や野芝が使われており、いずれも北海道では自 生していないといわれています。
道内のゴルフ場は本州の芝と違い、プレーの感触も違ってきます。ゴル フ場でも西洋芝が主流で、玉の転がりがスムーズです。