北海道は大規模です。何をとっても欧米型の「大型」です。特に道東の根釧台地を見ていただければその実感がわくと思います。酪農家一家だけでも土地も大きく、機械だって大型じゃないと始まりません。それだけでなく、搾乳もミルカーという機械に頼っていたり、昔と違って機械化されています。
アメリカ見たいな牧草の収穫・動画(ムービー)
北海道の酪農といえば「ロールベールサイレージ」!
北海道酪農王国の風物詩はなんといっても「ロールベールサイレージ」でしょう。北海道各地の草原地帯にぽつんぽつんとロール状の牧草が置かれている光景を見ることがあると思いますが、それです。
トラクターの後ろにロールベーラーと呼ばれる牧草を丸くロール状にする機械を牽引するかたちで行います。たいていその機械は赤が多いですね。牧草を刈り倒したあと、その機械の中に集められた牧草が機械の中で丸くロール状にされて、機械の後ろ側がパカッと開いて”排出”されます。この作業を数多く繰り返します。これを放っておいた状態が、良く見る草原地帯に置かれているロールたちなのです。
これらの丸められたロールベールは1つ350kgもの重さがあるというから驚きです!これを運搬し、ラッピングします。これにも専用の機械があり白いテープ(黒や白黒ゼブラ模様のものもあります:詳細は下記の写真参照)でぐるぐるまきにしていきます。
こうして密封させることにより中の牧草が発酵してめでたく「サイレージ」となるわけです。農家の端っこに積み重ねられている、飴玉のようにラッピングされた巨大な白い物体の数々の正体です。冬のための保存食として有効活用されます。
牧草ロールの作り方・動画(ムービー)
北海道の酪農家の姿:サイロ
青刈りした飼料をつめておくところ、それが「サイロ」です。その飼料を乳酸発酵させたえさのことを一般に「サイレージ」と呼んでいます。こうして発酵させることにより腐敗菌が少なくなるため長期間えさを保管することができます。それだけでなく、牛さんも食欲が増すということで一石二鳥なのです。
そういった役割(乳酸発酵飼料製造&貯蔵庫)を果たしていたサイロは酪農家のシンボル的存在でしたが、このタワー型(円筒型でてっぺんが三角のやつ)サイロは費用がかさむという理由から、最近ではこれを使わなくなったのが現状です。
じゃ、代わりにどうしているのか……というと「簡易型サイロ」の台頭ということです。丘の斜面を利用して削って飼料を備蓄するやり方や、ただたんにビニールでくるんだだけというやり方です。このように酪農においても進化を遂げています。
牧草が主食です!
飼料をいっぱいたべるわけですが、その基本となっているのが「粗飼料」、つまり牧草(イネ科[イタリアンライグラス・ケンタッキーブルーグラスなど]・マメ科[アルファルファなど]の植物)です。
先ほど書いた、発酵させた牧草(サイレージ[十勝ではトウモロコシの断裁発酵が主流])をはじめ、生の牧草(水分が多くビタミンやミネラル豊富!)、乾燥させた牧草(品質は変わらず繊維質も豊富!)がこれに含まれます(そのすべてができるのはイネ科植物の牧草のみです)。
しかし栄養をもっと与えるためにはこれだけでは十分ではなく、「濃厚飼料」と呼ばれる飼料も必要になってきます。これがなにかというと「おかず」ですね。トウモロコシや大豆、麦といった飼料を混ぜ合わせた「配合飼料」(離乳時は離乳用配合飼料など)というものを利用します。これら2種類の飼料をバランスよく与えることが酪農家の腕の見せ所となります。
※ちなみに、基本的にですが、十勝平野ではトウモロコシなど濃厚飼料が多く生産できる畑作酪農を主体としていますが、道北や根釧ではそういったものが育たないため草地型酪農という形態をとっています。
酪農家の一日は大変!
酪農家の仕事は朝夕の搾乳が大半を占めます。これが最も大切といってもいいでしょう。朝の5時あたりにはもう仕事が始まっています。牛に飼料を与え、ミルカーをセットして搾乳し、そのあともミルカー洗浄、糞尿処理や清掃といった仕事が待っています。夕方になったらまた同じ作業を行います(合計6時間!)。
それだけでなく、牧草地ではおいしい飼料作りをしなければいけませんし、出産時は忙しいですし、削蹄(さくてい)も健康管理もしなければいけませんし……。