【江差町】 歴史的な街並みを再現したいにしえ街道。その一角に、木造建築物の北海道指定有形民俗文化財(1963年)「横山家」はある。ニシン漁で栄えた時代の面影が随所に見受けられ、江差の歴史を語る上でも欠かせないスポットの一つである。
横山家は初代から現代に至るまで200年が経過しているという。初代は1786年に江差で漁業を始め、商売、廻船問屋を営んでいた。現在の建物は約160年も前に建築された家屋だ。8代目当主が現在も住んでおり、その当主が自ら丁寧に解説をしてくれる。
横山家の屋号は「一^丁(いちやまちょう)」。内部は入口から奥まで一直線に長い長い通路がある。建物はウナギの寝床のような形に建てられており、入口側から帳場、居間、一番蔵、二番蔵、三番蔵、四番蔵と海側に向かって続く。それぞれは50cmの隙間があいており、雪などから守る「のざや」という一続きの屋根がそれらを覆っている。
その向こうは戦後に埋め立てられ現在は国道になっているが、かつては海であった。「はねだし」形式(一階は海への門のある穴、二階は沖を見ることができる小窓があるはねだし)の建物だったので、所有する北前船「明神丸」から小舟へ、そして建物へ荷物を積み下ろしすることができるようになっていたという。
広々とした居間には屏風が展示されているほか、火災時に金庫を持って避難できるよう桐製の背負い金庫が展示されている。それに続く大きな蔵は、文庫蔵、食堂、または生活用具の展示スペース(四番蔵)として活用されている。一番蔵以外は通路に扉が設置されている。火事が多かったことから、それに備える物品も数多く見受けられるので是非探していただきたい。
なお、横山家では、隣接するお食事処で名物のにしんそばを提供しているので、是非お召し上がりいただきたい。
▼横山家
所在地:江差町字姥神町45
開館時間:9:00~17:00(不定休・11~4月は要予約)
入館料:大人300円・小中高生半額
電話:0139-52-0018