ダルマ駅という言葉を聞いたことはありますか?駅というから、鉄道の駅というのは容易に想像できますが、ダルマ駅というのは何なのでしょうか。
ダルマ駅の正体
一言で言うなら、貨車駅。貨車だったり、車掌車、緩急車だったりした鉄道車両を改造して、駅舎として転用したもの。これらの車両は廃車になったものを活用しています。別名「貨車駅」です。
車両は台車、車輪といった土台部分を外して、荷台部分だけをホーム脇にポンッと置かれています。その姿から、いつしか”ダルマ駅”と鉄道ファンの間で呼ばれるようになりました。
札沼線・本中小屋駅の場合
実は北海道はこうした簡易駅舎が日本一多い地域です。全国すべて合わせても約50駅あるとされていますが、道内には7割の約40駅あります。日本一の数を誇ります。以下が北海道内のダルマ駅のリストです。廃駅も含めればさらに多いでしょうが、現存する駅だけをリストアップしてみました。
・中須田駅(上ノ国町)
・桂岡駅(上ノ国町)
・吉堀駅(木古内町)
・釜谷駅(木古内町)
・東久根別駅(北斗市)
函館本線(5)
・尾白内駅(森町)
・中ノ沢駅(長万部町)
・二股駅(長万部町)
・蕨岱駅(長万部町)
・伊納駅(旭川市)(ダブルダルマ駅)
札沼線(3)
・石狩金沢駅(当別町)
・本中小屋駅(当別町)
・中小屋駅(当別町)
日高本線(5)
・浜厚真駅(厚真町)
・節婦駅(新冠町)
・荻伏駅(浦河町)
・鵜苫駅(様似町)
・西様似駅(様似町)
留萌本線(5)
・恵比島駅(沼田町)(ロケのため新木造駅舎隣接)
・幌糠駅(留萌市)
・大和田駅(留萌市)
・礼受駅(留萌市)
・舎熊駅(増毛町)
宗谷本線(9)
・智恵文駅(名寄市)
・紋穂内駅(美深町)
・筬島駅(音威子府村)
・歌内駅(中川町)
・問寒別駅(幌延町)
・安牛駅(幌延町)
・上幌延駅(幌延町)
・下沼駅(幌延町)
・勇知駅(稚内市)
釧網本線(3)
・美留和駅(弟子屈町)
・南弟子屈駅(弟子屈町)
・五十石駅(標茶町)
根室本線(4)
・尾幌駅(厚岸町)
・別当賀駅(根室市)
・西和田駅(根室市)
・花咲駅(根室市)(最東端のダルマ駅)
ダルマ駅の内部
多い地域としての傾向を見てみると、都市部ではなく、農村部や駅のまわりが田園地帯だったり、民家がほとんどない、乗降客数が非常に少ない駅で見られることが分かります。
路線別でみると、宗谷本線は9駅あり、名寄駅以北に比率が高くなっています。根室本線や釧網本線(いずれも釧路・根室管内)もあわせて7駅あります。こうした道北や道東地域に多く、函館本線(長万部~小樽間)、日高本線、留萌本線、札沼線(北海道医療大学~新十津川間)、江差線といったローカル線にもあります。
一方、室蘭本線、石北本線、石勝線、千歳線には現在ありません。石勝線は1980年代に開業した比較的新しい路線であり、千歳線や室蘭本線のほとんどはローカル線とは呼べないため、ダルマ駅は少ないといえます。
なぜ、ダルマ駅が多いのか。ダルマ駅が増えたのは、国鉄民営化による整理で、貨物車が多く廃車となったのが理由。そして、駅舎建て替えが相次いでいた道内事情も加わって、道内ローカル線の無人駅で貨車を改造した駅舎が誕生することになりました。コスト削減の意味もありました。
道内のダルマ駅にはさびていて、いたんでいるものもあり、老朽化ゆえに撤去される可能性も排除できませんが、一部のダルマ駅にはイラストが描かれていたりしていて、そんなイラストを眺めてまわるのもおもしろいかもしれません。