世界唯一!帯広競馬場で開催される「ばんえい競馬」って何?

世界でも北海道だけでしか見ることが出来ない、大変珍しいレース。それが「ばんえい競馬」です。ふつうの競馬とは違います。最近はばんえい競馬をテーマにした映画「雪に願うこと」が注目されていますから、一度おさらいしておきましょう。今回は、道民でもなかなか答えられない、ばんえい競馬って何?についてです。

ばんえい競馬とは?

旭川市の北海道市営競馬組合が運営していました。世界でも北海道だけでしか見られないのですが、北海道の中でもどこでも見れるわけでもなく、旭川市、岩見沢市、北見市、帯広市の4市内にある競馬場で開催されていました(旭川以外はばんえい競馬専用競馬場)。運営する組合を構成するのはこの4市でした(管理者は旭川市長)。

しかし2006年、ばんえい競馬は新たな局面を迎えました。赤字額が莫大になり今後運営を継続できないという事態に。組合を解散し、旭川、北見、後に岩見沢も開催を断念、継続する予定だった帯広は2007年度以降、ソフトバンク系子会社ソフトバンク・プレイヤーズが設立したオッズパーク・ばんえい・マネジメント株式会社(2007年2月1日設立)の支援により「ばんえい。十勝」としての単独開催が決定しました。

▼竹中里佳リポート

一般競馬との違いとは?

一般の競馬とばんえい競馬の大きな違いの一つは、騎手が馬に乗るのではなく、500kg~約1トンにもなる、重量物が積み込まれた重い鉄ソリをひかせて、それに乗ること。輓(ばん)馬がソリを曳く=輓曳、つまり「ばんえい競馬」と呼ばれています。

もうひとつの違いは、馬の種類。一般の競馬では、速さを求めるためにサラブレッド系の馬を用いますが、ばんえい競馬では、体重が重い。ペルシュロン種、ブルトン種、ベルジャン種といった、体重が1トンにもなる重種馬を用いるのが、ばんえい競馬です。サラブレッドの2倍近くにもなります。

 違いの3つ目は、コース。カーブがないセパレートコースです。直線の200mだけで、途中2箇所に盛り上がっている部分があるので、その障害を超えつつ、走らなければいけません(1箇所目は高さ約1m、2箇所目は約1.5mだが、競馬場により多少違いあり)。馬には馬力と持久力が求められます。

▼スタート後の第一障害物

4つ目の違いは、速度。やたら遅いです。それも当然です。重いソリをひいており、なおかつ障害物がありますから。速度も歩いても追いつけるほどの遅さで、第二障害物手前で止まったりします。

▼第二障害物







5つ目の違いは、すべてがゴールラインを超えるまでゴールにならないということ。一般競馬では馬の先端部(鼻先)でゴールですが、ばんえい競馬では、ソリの最後部が通過しないとゴールとして認められません。

また、騎手重量は統一されており、夏季75kg、冬季77kgですが、体重が満たない場合はおもりを使っています。ばん馬は2歳から10歳までで、1回のレースで10頭が出走します。ソリの摩擦の問題もあり、天候により速度が変わります。

▼ばんえい競馬の走りの流れ
1.スタート! (といっても、のそのそと出走)
2. 第1障害物(高さ1m)はスタートから勢いをつけて越える
3.第2障害物(高さ1.5m)前で一端停止、一気に越える
4.第2障害物を越えた後からゴールまでは逆転もあり
5.約2~3分程度でゴール!(ソリの最後尾がゴールラインを超えるまで)

ばんえい競馬のルーツ

ばんえい競馬の始まりは、北海道開拓時代から。明治期には木材を運ぶにあたり、農耕馬を使用していました。農民が数少ない娯楽の一つとして、日本のドサンコなどの農耕馬の力比べをして競わせていました。これを「草ばん馬」と呼びます。

明治末期から大正時代にかけて、ソリを使って競争する現在のばんえい競馬の基礎ができあがったとされています。いまでも根室市など道東(十勝・釧路・根室)9箇所では地域イベントとして開催されていますが、釧路管内白糠町のように廃止となったところも存在しています。1946年の地方競馬法施行に伴い、公営競馬となりました(1953年以降 市の運営)。

ですから、ただの競馬、ではなく、北海道の歴史に根ざした文化とでもいえるかもしれません。その証拠に、北海道に残しておきたい宝物である北海道遺産の第2回選定分に選ばれています。