札幌市と境界を接する赤井川村は、その面積の大部分が山地の森林であり、その豊かな自然の中でキャンプを楽しめるのが、札幌近郊の人気キャンプ場でもあったドロームキャンプフィールドです。一時期、このキャンプ場が閉鎖されてアウトドアファンをがっかりさせていましたが、去年の7月から経営者が変わり、名前もAKAIGAWA TOMO PLAYPALKとなって再オープンしました。
実は、ここの他に赤井川村にはもう一か所、その存在をほとんど知られていない穴場のキャンプ場があるのです。以前の人気キャンプ場がどう姿を変えたのか、そして穴場のキャンプ場はどんなところなのか、この二つのキャンプ場を訪ねてみました。
無数の立ち枯れが見られるダム湖は必見! 落合ダム湖畔親水広場
国道393号を小樽から赤井川村方向に走っていくと、途中で落合ダム・常盤ダムへの分岐を示した道路標識があります。一部のダムマニアの方以外は、全く気にも留めずに通り過ぎるところですが、実はこの落合ダムに穴場のキャンプ場があるのです。
国道から脇道に入っておよそ2.2キロほどで落合ダム堤体の広場に到着します。案内標識も何もありませんが、そっから更にダム湖沿いの1車線の砂利道を走っていくと、1.5キロほどで駐車場のある公園のような場所が突然現れます。
ここが、赤井川村で管理している落合ダム湖畔親水広場です。
▼落合ダム湖畔親水広場のトイレと駐車場
12台停められるアスファルト舗装の駐車場、その脇には木製のトイレが2棟建っています。駐車場の前には芝生広場が広がり、場内の案内看板を見ると、「キャンプ等はこのエリアを使用すること」と書かれてあります。つまりここは、村が管理している立派なキャンプ場なのです。
ただし、施設としてあるのはトイレだけ。水場はないので、キャンプする場合は水は自分で用意しなくてはなりません。照明もトイレの前にソーラー式の小さなものがあるだけで、夜は真っ暗になると思われます。その分、星も綺麗に見えそうですが、ベテラン向けのキャンプ場と言えます。
▼落合ダム湖畔親水広場の様子
一般的なキャンプ場と比べると管理も行き届いていないと思われるので、ごみの処理を完全にすることは勿論、トイレの使用も汚さないように気を使う必要があります。少々不便でも静かなキャンプを楽しみたい方にはお勧めできる穴場のキャンプ場です。なお、ここのトイレの開放期間は6月1日から10月31日までなので、その期間がキャンプ場のオープン期間とも言えます。
▼ダムの上から眺めるダム湖
それと、ここのダム湖ではカヌーで遊ぶことも可能です。カヌーを降ろしやすいように、湖畔まで降りていける道路も付けられています。
このダム湖で特筆に値するのは、立ち枯れた無数の樹木が水上に立ち上がり、湖面に枯木の森が広がっているかのように見えることです。数本程度の枯れ木が立っているのは他のダム湖でも目にしますが、これだけ沢山の枯れ木がまるで森のように残っているのは他では見たことがありません。
▼湖畔から眺める古木の森
▼湖上から眺める古木の森
この不思議な景観は、湖畔からでも見ることができますが、かなり広範囲に広がっているので、カヌーで湖に漕ぎ出すとこの風景をもっと楽しむことができます。カヌーを持っていなくても、このダム湖ではキロロリゾートのカヤックダッキーツアーも行われているので、それを利用する方法もあります。枯木の森をカヌーで巡る湖上探検、お勧めです。
▼湖畔まで車で降りていける
赤井川村の人気キャンプ場AKAIGAWA TOMO PLAYPALK
もう一つのキャンプ場であるAKAIGAWA TOMO PLAYPALK。昔のホテルドロームの建物がそのまま管理棟として使われていますが、私が訪れた時はその管理棟の前で大規模な工事が行われていてちょっとびっくりしました。この工事は、常設型のパンプトラック(※)の造成工事で、今年の夏には完成するそうです。
※パンプトラック:ペダルをこがないで、身体の重心移動やコースの傾斜を利用して加速力をつけてゴールを目指す新種の種目で、MTBやBMXが使われる
8月5日には開設を記念として「レッドブル・パンプトラック・ワールド・チャンピオンシップ」が開催されるそうです。
▼清々しいテントサイト
▼管理棟(以前のホテルドローム)
▼スノーピークのモバイルハウス「住箱」
その他にも場内ではコテージ3棟が建設中。変わった建物だなと思ったら、スノーピークのモバイルハウス「住箱」でした。この「住箱」を利用してグランピングも始めるようです。
このような新たな動きはあるものの、パンプトラックが造られるのは管理棟の裏側で、キャンプ場からは全く見えませんし、コテージ3棟もキャンプ場の入り口部分に慎ましく建っている程度。
▼緑に覆われた山の風景がここのキャンプ場の魅力の一つ
キャンプ場そのものは以前と全く変わっていません。広々とした芝生広場、美しいシラカバ林、空に向かって大きく枝を広げる立派な樹木、豊かな自然はそのままです。広い場内の何処にテントを張っても、緑に覆われた山がキャンプ場の背景として見えているおかげで、とても落ち着くことができます。
私が訪れた時は、場内のニリンソウの大群落が花を咲かせ、新緑の風景と相まってとても美しい景観を楽しめました。おまけにニリンソウの間には山菜のアズキナ(別名ユキザサ)も沢山生えていて、この日のキャンプのメニューに加わりました。もう少し早い時期にはエゾエンゴサクも花を咲かせ、青いカーペットを敷いたように場内を彩ります。
▼広大な場内
ここのキャンプ場の唯一の欠点は、キャンプ場の隣を通っている国道393号の車の通行音です。道路との間に生えている樹木がその音を和らげてくれますが、気になる方は道路から離れた川の近くにテントを張ると良いです。車の通行音よりも川のせせらぎの音の方が安眠できると思います。
それと、何処のキャンプ場も同じですが、これからの季節は蚊や蚋が多くなるので、虫よけスプレーは必須ですし、できればスクリーンテントがあった方が快適に過ごせます。
落合ダム湖畔親水広場とは違い、こちらは設備も整って、自然の中で快適なキャンプを楽しめる万人向けのキャンプ場と言えます。