肉厚「王様しいたけ」を使った「そば」が人気!函館・そば処さんてい

【函館市】大人のこぶし大もある立派なかさを持ち、肉厚の「王様しいたけ」。函館市のお隣、七飯町の福田農園が菌床で育てるしいたけです。この王様しいたけの旨みを存分に生かした「王様しいたけのうまみそば」が、函館市のお蕎麦屋さんのメニューとして2014年9月から加わっており、人気を集めています。

しいたけの味を前面に出した個性的な蕎麦

この蕎麦店は、1950年創業の「そば処 さんてい・柏木店」(函館市柏木町)。3年ほど前から、福田農園の王様しいたけを蕎麦に入れる天ぷらの具などとして使ってきました。函館やその近郊の農家に店主が直接行って購入してくる素材で創作そばを生み出している同店。3代目店主の池田幸久さんは、「きのこ蕎麦というカテゴリーはあるが、しいたけの味を前面に出した蕎麦はなかなかない」と考え、食べごたえとうまみがぎっしり詰まった肉厚の王様しいたけを主役にした蕎麦メニューを作りました。

貴重な存在の王様しいたけ

▼福田農園の王様しいたけ(奥)、同農園の普通の大きさのしいたけ(手前右)、干しの王様しいたけ(手前左)

取材日に見せていただいたのは、前日に福田農園から仕入れてきたばかりという採れたての王様しいたけ。手前右のしいたけも同農園のもので、「(奥に写っている王様しいたけの)この大きさまで育つのは、全体の5~10%ほどらしい」と池田さん。その貴重な存在の中からさらに限られた量を、直接仕入れます。池田さんが農家に直接出向いて素材を仕入れる理由は、「直接行くことで、収穫からの日数、つまり新鮮度をきちんと把握できる」こと。

採れたてでかさが開き切っていない王様しいたけのスライスは、正に王冠をイメージさせる堂々とした風格。その王様しいたけが表面に敷き詰められ、蕎麦が見えません。見かけからして贅沢なお蕎麦です。

甘みのあるあんかけつゆが肉厚しいたけに絡む

甘みのあるあんかけつゆは、しいたけのもどし汁に加え、函館市の恵山や南茅部産の昆布、かつお、さば、うるめいわしが入った削り節でだしを取っています。このあんかけがしいたけによく絡み、王様しいたけにぎゅっと詰まっているうまみを引きたてます。

肉厚のしいたけは、アワビのようなしっかりとした歯ごたえがありながらやわらか。噛むほどに旨みが味わえ、大人だけでなく子どもにも食べやすい、ほどよい歯応えです。しいたけが苦手な人の理由である「臭み」がなく、しいたけの魅力に目覚めてしまう人もいるかも!?

夜の営業では、この「王様しいたけのうまみそば」から蕎麦を抜いたものを、お酒のつまみとして提供しているそうです。温かい「王様しいたけのうまみそば」の提供は3月末まで。4月からは、王様しいたけの入った温かいつゆに冷たい蕎麦をつけて食べるつけ麺風のメニューを予定しており、こちらもぜひ食べにきたいものです。

魅力的な素材を地元の人にこそ

「地元の良質な素材は、それなりの価格で札幌や東京などの大都市に卸されていく」。そういった素材を地元の人たちに気軽に味わってほしいと、地元産の素材を使ったそば、料理を提供している池田さん。函館金子農場産のとろろを使った「冷やしとろろそば」、道南特産の大粒たまふくら納豆を使った「冷やし納豆そば」、函館男爵黒豚を使った「肉そば」など、地元素材への店主の愛が詰まったメニューが並びます。

さんていは明るく落ち着いた雰囲気のお店で、キッズメニューでは、手作りのうどんにスープを薄める無添加のだし汁が添えてあったり、麺類のゆで具合をやわらかめにしたり、麺切りばさみを用意してくれるなど、小さな子ども連れの客へのきめ細かい優しさも。地元素材を生かしたメニューが並ぶ函館のお蕎麦屋さん、ぜひ訪れてみてください。

そば処 さんてい・柏木店
所在地:北海道函館市柏木町7-32 [地図]
TEL:0138-52-1055
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