【函館市】
函館湾を一望でき、常に観光客が多い函館市の八幡坂。その八幡坂を上りきったところに、「ロシア極東連邦総合大学 函館校」があります。毎年2月には「ロシアまつり」を行うなど、大学と函館市民との交流が行われています。このほど、同校で「マトリョーシカ」の絵付け体験講座が開かれ、参加してきました。
マトリョーシカとは?
マトリョーシカとは、ロシアの木製の人形で胴体の部分で分割でき、中から次々に一回り小さい同じ形、柄の人形が出てくる入れ子構造になっています。19世紀に、日本に来ていたロシア人がロシアに戻るとき、だるまなどの入れ子人形をおみやげに買っていったことが、ロシアでの起源になったとも言われているそうです。
函館市内でも、金森赤レンガ倉庫内の雑貨店などにずらりとマトリョーシカが並んでいるので、観光などで訪れた際に見かけたことがある方もいるでしょう。
ポイントは、配色バランス、筆致、水加減
今回の講座では、あらかじめ下絵が施された木の人形が用意されました。この人形に水彩絵の具で、好きな色で色づけしていきます。しかし、初心者に難しいのが、色のバランス。講師のデルカーチ・フョードル先生が、各自が基調したい色を聞いた後に、それに合う色のバリエーションをアドバイスしていきます。
絵付けのポイントは、何と言っても配色バランス、そして、筆のタッチ、水加減だそう。
筆を行き来させることなく、同一方向に向けて塗っていくことが大事で、絵の具に加える水の量も、やっているうちに段々加減がつかめてきます。下部の土台の部分から塗り始め、乾いたらその部分を持って、上部に色をつけていきますが、うっかり色づけした部分に触れてしまうことも多々。集中力が必要な、かなり細かい作業です。
1つとして同じ顔はない!
初心者が同時に同じ説明を聞きながら絵付けに取り組んでも、まず、配色によって雰囲気が全く違います。パステル調だったり現代風の雰囲気だったり、エキゾチックだったり。また、一番緊張するのが顔のパーツの描き込み。細い筆で紙に練習した上で木の顔に目や口、鼻をつけていきますが、左右の微妙なアンバランスが気になったり、修正しているうちに思ったよりパッチリ目になったり、鼻の位置によって表情もグンと変わってしまうなど、四苦八苦しながらようやく顔が完成。あとは黒い絵の具で縁取りをしていくだけです。ずらりと並んだマトリョーシカの表情は、何とも個性豊か。よく、ひな人形の顔が1つとして同じ顔はないと言われるのも、よく分かりました!
集中して3時間近くかけた作業、とても楽しい体験でした。定期的に行われる講座ではないそうですが、想像よりよかった出来栄えに、「また作ってみたいなあ」とも。指導者がいたからこそ順調にできたのでしょうが、マトリョーシカ絵付けキットなども出回っているようなので、大小様々なマトリョーシカも作ってみることができたらすてきですね。