【登別市】「湯煙のまち」として有名な北海道登別市に、古い玩具や美術品などを展示するスペースがあるのをご存じでしょうか?「目指すはスミソニアン博物館のような総合博物館。この博物館を通じて創作意欲をかきたてたり、刺激を与えられる場所になればいい」。今回は博物館開館という長年の夢をかなえた男性が管理する私設博物館、「古趣 北乃博物館」へ、胸をワクワクさせながら訪れてみました。
芸術品の「保護・保存」の精神
登別市で玩具店を営む若木日出男さん(76)は、自身や知人が集めていたコレクション1万点以上を展示するために、2014年4月に「古趣 北乃博物館」をオープンさせました。
この膨大なコレクションを展示している建物は、もともとは水産加工場だった施設を改装したものです。
「まだまだ、集め足りないね。目指すはスミソニアン博物館だから」と、笑顔でそう答えてくれたのは館長の若木さん。
1階のスペースには骨董美術品や古民具などがずらりと展示されていて、なかでもまず目を奪われたのがこちら。
東北6県で作られたこけし。こちらは40年かけて集められたもので、若木さんの知己である方から提供されたものです。
「人の手で造られたものは、すべて芸術品。いらないから捨てるのではなく、『保護・保存』の精神をモットーに、芸術品を集めているんですよ」。そう語ってくれた言葉から、博物館開設という、20年来の夢を叶えた若木さんの情熱を感じました。
懐かしき伝統古趣がずらり
1階の展示スペースでは、江戸時代の古民具を設置し、当時のようすを再現したスペースや、小判や珍しいコイン、掛軸、鎧兜や蓄音機など、思わず手を触れたくなるような美術品や古民具がずらりと並んでいます。
▼江戸時代の部屋
▼鎧兜
▼小判とコイン
▼蓄音機
その他にも、カメラ好きの方はつい目を惹かれてしまうようなレトロカメラや、映画好きの方が思わず声を上げそうな過去のキネマ旬報なども展示。
入口近くのボードには、「宝くじ第1号発行分」の券が展示されていて、若木さん曰く「この券を今でも持っている人は、めったにいないだろうね」とのこと。そしてこちらには「開運! なんでも鑑定団」に出演したときの記念として、著名な鑑定士の方々のサインが展示されています。
▼レトロカメラ
▼全国宝くじ発行第1号
大人も子供もワクワクする宝箱の世界
1階のスペースとは一転して、2階の玩具を展示しているスペースへ足を踏み入れると、そこにはおもちゃ箱をひっくり返したような夢の世界が広がっています。
漫画やアニメキャラのカード類、超合金や仮面ライダーシリーズのフィギュア、ミニカー、リカちゃんシリーズなどのおもちゃがぎっしりと詰まっていて、30代後半のわたしでも胸をワクワクさせられる空間です。
苫小牧から「初代仮面ライダーの変身ベルトを探して」この施設を訪れたという男性もいて、マニアには目の離せない魅力的な施設になっていることがわかります。
▼超合金
▼フィギュア
▼カード類
▼女の子用玩具も
良いものを後世に残したい
目指すはスミソニアン博物館のような総合博物館。そしてこの博物館を登別の文化発信の場所に――。
そんな思いを込めてつけられた施設の名称は「古趣 北乃博物館」。
取材当日は館内に展示されている美術品などを、ひとつひとつ丁寧に説明してくださった若木さん。
「良いものを後世にまで残していきたい」という若木さんの挑戦は、今後もまだまだ続きます!
▼古趣 北乃博物館
所在地:北海道登別市登別東2丁目27番地3 [地図]
電話:0143-83-1730
入館料:大人500円 高校生以下200円
開館時間:10:00~16:00
休館日:毎週水曜日、12月~2月は土・日のみ開館