「交通困難地」という言葉をご存じだろうか。イメージとしてはその名称の通り、行くことが難しい場所なのだが、正確には郵便事業株式会社(2012/10/1~日本郵便株式会社)が郵便配達を行うことができない地域を指している。道内にも交通困難地に指定されている地域が存在する。
郵便業務に関する決まり事は内国郵便約款に定められている。「交通困難地にあてた郵便物の取扱い」についてはその第80条に記載されており、交通困難地のリストに定めた住所に郵便物を送っても届かない。その中には、除雪されないため冬季は行けない場所やそもそも道路がない、一部離島などが該当する。道外では東京都小笠原諸島南鳥島、栃木県三斗小屋温泉等の例があり、一部地域は冬季限定で交通困難地の指定を受けている。都道府県別では長野県が最も多いが、北海道も主として三地域が指定されている。
具体的には後述のリストの通りで、道内においては、釧路市阿寒町、羅臼町、礼文島礼文町の3地域から13の字がリストアップされている。
イベシベツ、チウルイ、チクショベツ、パンケ一の沢、パンケ二の沢、パンケ三の沢、パンケトー事業所
▼目梨郡羅臼町
(〒086-1801)知床岬、(〒086-1802)滝ノ下、(〒086-1803)船泊、(〒086-1804)化石浜
▼礼文郡礼文町船泊村
(〒097-1111)メシクニ、(〒097-1111)メシコタイ
最後は、礼文島。島の西海岸中央にある召国ノ岬周辺の2つのエリアが交通困難地である。礼文島は島の東海岸には道路が通っているが、西海岸にはトレッキング用のルートはあるが、車が通れる道路がない。近くの召国集落に至っては、車ですら行けず、急坂を下るしかない秘境の中の秘境と言われている。(写真は礼文町北西部の船泊村西上泊。この集落の先しばらく行くと交通困難地)
以上が道内の交通困難地に指定されている地域である。いずれも定住している人はなく、郵便番号が設定されているものの郵便物を出す人はいないだろう。逆にいえば自然が手つかずで残されている地域である。郵便物を出しても届けることができない地域は他にもありそうだが、基本的に人が住んでいれば届くようだ。