日本で一番長い川といえば……誰でもわかる問題ですね。答えは信濃
川です。長さが367kmで堂々日本一です。北海道で一番長い川といえば、
石狩川ということになります。国内では第3位の長さの川です。ところが、
この石狩川が日本一長い川だった(かもしれない)ということはあまり知ら
れていません。
ここで石狩川について詳しくみてみたいと思いますが、長さは268km、大
雪山系石狩岳西斜面を源流とし、旭川市を中心とする上川盆地を通り、空
知を縦断し、石狩平野から石狩湾へそそぐ川です。途中22市町村(流域市町
村48)を通ります。国内2位の流域面積は14330平方km。まさに大河ですが、
信濃川とは100kmも差があって、とうてい勝てません。
なぜ日本一の長さだった(かもしれない)石狩川が今では第3位になって
いるのでしょうか。自然と人間の共存に関する歴史が関係しています。
曲がりくねった暴れ川
川の名前の由来はアイヌ語「曲がりくねった川」から。しかしこの川は
昔「暴れ川」という名前を付けられていました。そう、曲がりくねりすぎ
ているので、特に雪解けの時期にしょっちゅう氾濫し洪水が起きたのです。
命を失い、家を失い、畑を失い……。北海道開拓の障害でした。
石狩川の治水問題にまで発展するようになったのは当然のことでした。
明治31年、北海道庁は札幌農学校一期生岡崎文吉を中心として北海道治水
調査会を発足させます。
川を短くする工事
石狩川の工事はショートカット方式を採用しました。つまり、ぐにゃぐ
にゃ曲がっている部分をまっすぐにする工事です。今でもその名残を流域
に見ることが出来ます。札幌市の茨戸川、新篠津村のしのつ湖などなど、
多数の三日月湖が存在していますし、市町村境界線も川に沿っていない所
もあるので、あとで地図でも見てご確認を。
さて、こうして工事を進めるうちに石狩川の長さもだんだんと短くなっ
てきてしまいました。明治27年、この当時の石狩川の長さに関する記録に
よると、信濃川とほぼ同じ「364km」だったようです。今は268kmだから、
100kmも縮められてしまいました。
ところで、はじめに石狩川について「日本一の長さだった」の次に(か
もしれない)と記したのはわけがあります。川の長さはたびたび氾濫や工
事によって変わりますが、中でも特に石狩川の長さは大幅に変わりました。
信濃川も同じです。記録が残っていない時代がある以上、断定は出来ない
訳です。長流の信濃川と同じ長さだったとあれば、もしかしたら石狩川が
日本一長い時代があったかもしれないということがわかります。