ハマナス。日本では北海道で最も多くみられます。北海道の花にも指定
されており、北海道で最もポピュラーな花のひとつといえるでしょう。今回
は夏の花ハマナスについてご紹介。
ハマナスとは?
バラ目バラ科バラ属に属する落葉低木、つまり背丈の低い、高さ1mほど
の植物です。夏になると赤というかピンク色(ボタン色、白色のものも存在する)の直径約7cmほどの
花を咲かせます。この花から香水もとることができます。
英語ではなんと「Japanese Rose」(日本のバラ)といわれます。アイヌ語
では「マウ」というそうですが、アイヌの人たちも昔からハマナスの花を煎
じて飲んでいたという記録もあります。
果実も活用されていて、秋になるとオレンジ色の楕円形状の丸い実をつけ
ます。この実は、ビタミンCが豊富に含まれていて、ローズヒップなど健康
食品として食用、あるいは薬用酒にされています。この実が梨に似ているこ
とから、浜になる梨という「ハマナシ」、それが転じて「ハマナス」になっ
たといわれています。
ハマナスは冷帯気候で生育するため、主に北海道から東北地方で多くみ
られているわけですが、南は天橋立、島根県にも分布していることが確認
されています。しかし北に行くほど赤い花をつけるといわれており、最北の
稚内市は最も赤いといわれています。
砂丘が名所
また、生育環境としては海浜、つまり海辺の砂丘に生育します。それで、
道内の名所もそのほとんどが海辺となります。市町村の花として指定され
ているところとして以下の町がありますが、いずれも海岸線を有しています。
1978年7月26日には「北海道の花」にも指定されています。
石狩市(市花、石狩川河口、カントリーサイン)
奥尻町(町花)
江差町(町花)
寿都町(町花)
天塩町(町花)
稚内市(市花)
・オホーツク海側
紋別市(市花)
雄武町(町花)
興部町(町花)
斜里町(町花)
・太平洋側
新ひだか町(町花)
浦幌町(町花)
標津町(町花)
・その他のおもな名所
えりも町襟裳岬
函館市立待岬
海岸線が主な生育環境ですが、内陸部でも育てることは可能です。たとえ
ば札幌駅や百合が原公園でハマナスを見ることができますし、北見市端野
では栽培もしています。
海岸線でもないのにハマナスを多用している町があります。それは岩見
沢市。岩見沢市限定のコミュニティFMの名前は「FMはまなす」。いわみざわ
公園には「レストランハマナス」があります。実はこのハマナスの丘では
日本有数のバラ園にちなんでハマナス栽培を行っているほか、バラとハマ
ナスを交配させた新品種ハマナスジャパンも誕生させています。
「知床旅情」でも「知床の岬にハマナスの咲くころ」が、「網走番外地」
でも「紅い真っ赤なハマナスが」という一節があります。こうした歌が、
ハマナスといえば北海道というイメージを作ったという意見もあります。