【江差町】 歴史的街並みが保存・再現されている江差町中心部の『いにしえ街道』(写真)。2月上旬から4月上旬までの約2ヵ月間、長さ1090mのこの街道はたくさんのおひなさまでいっぱいに。街道沿いの店舗や住宅、公共施設などで、店先や玄関先、窓辺などにおひなさまが展示されるのです。2014年で第3回を迎えたばかりのイベント。歴史的街並みによく似合うおひなさまで江差の春の始まりを盛り上げようと、地元商店街が主催しています。
個性豊かなおひなさまたちが街道を見守る
街道を飾るおひなさまを見ようと、江差町に行ってまいりました。青空と太陽ものぞくお天気の下、キラキラ輝く澄んだ江差の海。早速、街道端の駐車場に車を停めて歩き出すと、両脇の店舗や住宅先に、赤い布が風にゆられています。「江差北前のひな語り」との文字が入ったこの布が、おひなさまが飾られている建物の目印です。
店先や住宅の窓から、通りゆく人を見守るおひなさまたち。国指定重要文化財の「旧中村家住宅」にも、五段飾りや七段飾りのおひなさまがズラリと並びます。窓辺のおひなさまたちも、個性豊か。
▼部屋から道行く人を見つめる。四枚目は「旧中村家住宅」
歩いている途中でふと開いた家の玄関にも、五段飾りのおひなさまが。出かけようとして出てきた家の方が、「どうぞ見て行ってください」と声をかけてくださいました。「お姑さんが大阪からお嫁に来た時に、持ってきたもので、古くて手が取れたりもしているんだけど……」。古くなり、小さな子どももいなくなってしまわれていたものが、このイベントでまた、表舞台に立っています。
「ひな祭り」ではなく「ひな語り」の理由とは
「江差北前のひな語り 案内所」との札が立ててあった『遊工房 紺屋』でひと休みしながら、店主の紺谷捷子さんのお話を伺いました。このイベントのために、道内外から集まったおひなさまの数は約150。自前のおひなさまが意外と少なかったそうです。
▼一枚目:顔が綿棒で作られた手作りのおひなさま。▼二枚目:個性豊かな手作りおひなさま。▼三枚目:江戸時代や明治時代のものと思われるおひなさまも。(いずれも『遊工房 紺屋』内)
「ひな祭り」でなく「ひな語り」であるのは、おひなさまをきっかけに町の人と言葉をかわした訪問者たちに、飾られているおひなさまについて色々伝えていきたいという思いからだそうです。「おひなさまについて語るためには、もっと勉強しなければね」とお話していました。
「JR江差線が廃止されることもあって(木古内~江差間が2014年5月12日に廃止予定)、電車で訪れてくれる人も結構いるみたいですね」と紺谷さん。街中の雪は少ないながらも、気温は0℃に届かない冷たい風の吹く日でしたが、太陽の光と街道を包み込むおひなさま、地元の人たちとのやり取りの中、確実に春が少しずつ少しずつ近づいていることを体感できる、温かな雰囲気を堪能しました。
▼第三回 江差北前のひな語り
・主催:北前のひな語り実行委員会・江差町歴まち商店街協同組合
・共催:江差町
・2014年のおひなさま展示期間:2月1日(土)~4日6日(日)
・江差町歴まち商店街ホームページ(会場マップもこちらのホームページからダウンロードできます)