北海道の冬の楽しみの一つ、氷上のワカサギ釣り。厳冬期の1月~3月上旬にかけて、湖や沼に張った氷にドリルで穴を開けてワカサギを釣るのだが、群れに当たると入れ食いになることもあって、休日には多くの太公望や家族連れが訪れる。
実はこのワカサギ、川でも釣れるのをご存知だろうか?道東では厳冬期になると川の下流付近に張った氷に穴を開けて、ワカサギやチカ、キュウリウオなどが釣れるのだ。そう言えば道内のスーパーでよく売っている、あの「チカ」という魚。あれってワカサギによく似てるけど、大きさ以外にどう違うの?という疑問が。それならばと、釧路町を流れる2つの河川で実際に両方釣ってみようということにした。
まずは釧路川下流へ。ここは釧路市内に近いこともあって、多くの釣人がテントや釣り座を構えて楽しんでいる様子。さっそくアイスドリルで氷に穴を開け仕掛けを入れると、群れに当たったのか20cm以上の大きなチカが入れ食いに。2時間後にはアタリがやや収まったが120匹以上の大漁!ビニール袋がズシリと重い。
次は釧路川にほど近い別保川へ。今度は1つの穴から大きさが違う似たような魚が釣れる。これって大きいのがチカで、小さいのがワカサギ?ここはひとつ専門家にお伺いしようと釧路市立博物館へ。水産学博士の針生学芸員に判りやすく教えて頂いた。
― ワカサギとチカって、どう違うんでしょうか?
「まずは大きさを見て下さい。このように大きな魚体の場合はチカになります。ワカサギはここまで大きくなりません。」
― なるほど。でも小さいチカだった場合はどう見分ければ?
「ヒレの位置を見て下さい。背ビレの始まりが腹ビレより前にあるのがチカ、腹ビレより後ろにあるのがワカサギです。」(※写真下:左がチカ、右がワカサギ。背びれの位置が違う)
確かに、大きさだけでなく見た目も微妙に違うのであった。ただどちらの魚も、釣りたてを天ぷらやフライにして食べると臭みもなく、ほんのり甘みが感じられて本当に美味しい。皆さんも寒さを楽しむぐらいの気持ちで、氷上の穴釣りにチャレンジしてみてはどうだろう。
注意:多くの湖と違い、河川での穴釣りは漁業協同組合が管理していないので、氷が薄く危険な場所もある。出かける時は必ず、釣り場に近い釣具店で最新の情報を得るなど、細心の注意を払って楽しんでほしい。
協力:釧路市立博物館 http://www.city.kushiro.lg.jp/museum/