やちぶき(エゾノリュウキンカ)、春を告げる花

 やちぶきってご存知でしょうか。都会に住んでいるとなかなかお目にか
かる機会はないでしょうが、山間のちょっと沢のあるような湿地帯の林間
に入ると見つけることができます。札幌市ですと野幌森林公園、札幌岳が
最寄でしょうか。

 正式名称は「エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)」。アイヌ語では「プイ」
と呼んでいるようです。分布域は国内では北海道を中心に、本州北部一部
山間部でも多少見られるようです。北海道では「やちぶき(谷地蕗)」と呼
ぶことが多く、馴染み深い植物です。士別市、宗谷管内浜頓別町では市町
の花に指定されています。谷地とは湿地のことです。

 その時期は雪解け時。4月~5月頃(山間部ではもう少し遅いところもある)
に春の訪れを知らせる花でもあります。フキのような葉とともに直径3cmほ
どの黄色の花が数個咲きます。花びらは5枚~7枚程度。背丈は50cm程度。

 通常なら「春の花」ということで終わるのですが、このやちぶきをおいし
く食べる人も多く、ギョウジャニンニク、たらの芽などとともに春の「山菜」
という分類に含むことがあります。

 やちぶきは食べることができるのです。まずはやちぶき採りに出かける
ところから。きれいな小川があるような林間の湿地にはたいていあるでし
ょう。採取するタイミングも重要で、成長が早い植物のためすぐに硬くな
ってしまいおいしくなくなるので、花が咲く直前がベスト(咲いてから食べ
る人もいますが)。

 採ってきたやちぶきは、適度に湯がいてから、半日を目安に水にさらし
て灰汁抜きをします。食べ方はいろいろあって、たとえばおひたしに、和
え物に、炒め物に。簡単でバリエーション豊富というわけです。アイヌの
人たちは、根も食用としてきました。また、その根は煎じると薬用(塗り薬
)にもなるといいます。