東京2020オリンピック札幌会場オープニングでアイヌ舞踊パフォーマンス披露

2021年8月5日、東京2020オリンピック競技大会のマラソン・競歩が札幌で行われるのに先立ち、オープニング・アイヌ舞踊イベントが無観客で開催され、約30分間のアイヌ古式舞踊パフォーマンスが披露されました。(トップ写真:オフィシャル提供)

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東京五輪の機会を活用しアイヌ舞踊を国内外に広く発信

東京2020オリンピックでは、マラソンと競歩とサッカーが札幌市で開催されます。競歩は2021年8月5・6日、マラソンは8月7・8日にかけて、札幌大通公園をスタート・ゴールとして実施されます。

マラソンと競歩で注目が集まる機会を活用し、アイヌ舞踊を国内外に広く発信することによりアイヌ文化とウポポイ(民族共生象徴空間=胆振管内白老町)の普及・啓発を図るため、大通公園1丁目さっぽろテレビ塔前の広場の特設ステージにて、8月5~8日の期間中毎日(4日間5回)、アイヌ舞踊パフォーマンスを開催します。

プログラム名は「『東京2020オリンピック競技大会』公認プログラムーアイヌ舞踊パフォーマンス『ウポポ ヤン リㇺセ ヤン(唄いましょう。踊りましょう。)』」。東京オリンピックの公認プログラムとして実施されます。

アイヌ舞踊の3つのテーマ

8月5日の競歩が始まる1時間前に行われたオープニング式典では、加藤勝信 内閣官房長官、橋本聖子 東京オリンピック・パラリンピック 競技大会組織委員会会長がビデオメッセージで挨拶・祝辞を行い、鈴木直道 北海道知事、秋元克広 札幌市長、大川勝 北海道アイヌ協会理事長がそれぞれ挨拶や祝辞を述べました。

主催者挨拶で加藤勝信 内閣官房長官は、「『世界が心を一つにすることで現代の様々な課題を解決していこう』というアイヌの願いと、アイヌ語でいう『パラル』(ひとつになる道)を体現するもの」と解説。

主催者挨拶をする鈴木直道 北海道知事(オフィシャル提供)

鈴木直道 北海道知事は、「道内各地の特色ある15の舞踊を一つにまとめ、地域を越えて一緒に踊るものであり、『礼節と神羅万象を慈しむ心、ともに尊重し合うことで、優しく穏やかな世界に向かいましょう』というメッセージが込められている」と話しました。

アイヌ舞踊の構想を述べる秋辺デボ氏

今回のアイヌ舞踊の総監督を務める秋辺デボ氏は、「(監督を仰せつかった)4年前、アイヌ民族が舞踊を通して世界にどんなメッセージを投げかけたいのかを考えたときに、オリンピック憲章に流れている精神と、アイヌ民族が長年培ってきた平和に対する思いとが根っこでつながっていると思った」と振り返りました。

また、今回の舞踊には3つのテーマを掲げられていると解説。「まず、『イランカラㇷ゚テ』(心と心を開いて繋がりましょう)から始まる。続いて『カント オㇿ ワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ』(天から役目なしに降ろされたものは一つもない)というアイヌの言葉で、パラリンピックにぴったりだと感じた。最後に『ウレㇱパ モシㇼ』(世界は育て合う大地)」とコメントしました。

道内各地の15の舞踊を35分にまとめたステージ

8/5夜の部の舞踊ステージより(オフィシャル提供)

今回の舞踊は、解説を間に挟みながら進行する従来型ではなく、約35分間にわたり15のアイヌ舞踊を一つにつなげたもの。8月5日のプログラムは午後と夜に行われ、白老・千歳・苫小牧・登別チームが約400㎡のステージで舞踊を行いました。

同日夜のプログラムは旭川・札幌チーム、8月6日はチーム ラタシケプ、8月7日は浦河・様似・静内・新冠・平取チーム、8月8日は帯広・阿寒湖チームが舞踊を行います。1回あたりの舞踊人数は約80人です。

タクサ リㇺセ(釧路地方)魔払い、清めの舞踊
ウエカㇷ゚(旭川地方)あいさつの踊り
カムイノミ(全地域)神々への祈りの儀式。様々な行事を執り行う際に必ず行われるもので、重要な行動を起こす前にはまず私たちの思いを神々に伝えその庇護を願う
ムックリ/ムックル(全地域)口琴、アイヌの楽器。情景、情念や自然の音、動物の声を表現
サㇽキウㇱナイ(帯広地方)風景、情景の踊り。アイヌコタンのまわりに、よしがたくさん生えているところがあり、風が吹きよしが大きく揺れる様子を表した踊り
エリ リㇺセ(帯広地方)農耕、豊年祈願の踊り。通称粟まき踊りと言って、粟まきから収穫までを表した踊り。豊年祈願の踊りとも伝えられており、足で種に土をかける様子などが踊りにみられる
ク リㇺセ(釧路地方ほか各地域)弓の踊り。狩人が山で鳥を見つけたがその鳥があまりに美しく射るか射るまいか迷い結局射ることができなかったことから生まれた踊りと言われている。神々への奉納の踊りとしてイオマンテの儀式や祭事の時に踊られる
エムㇱ リㇺセ剣を持って踊る男性の踊りで儀礼における魔払いや厄災を払うための踊り。阿寒では勇壮活発な踊りと言われ、イオマンテ等の儀式や祭事の時に神々への奉納の踊りとして踊られる。剣には霊力があるとも言われ魔を祓うための踊りとも伝えられている
ウコウㇰ旋律を輪唱のように1 拍ずつずらして歌い継いでゆく
フッタレ チュイ黒髪の舞、大嵐の夜に風で松の木が揺れているさまを表した踊りと言われている。踊りが激しいことから別名、心臓くらべの踊りとも言われている
ク リㇺセ(エムㇱ リㇺセ)弓の踊り。狩人が山で鳥を見つけたがその鳥があまりに美しく射るか射るまいか迷い結局射ることができなかったことから生まれた踊りと言われている。神々への奉納の踊りとしてイオマンテの儀式や祭事の時に踊られる
チカㇷ゚ ウポポ(旭川地方)鶴の舞。チカㇷ゚とは鳥のことで、ここではツルを指し、ウポポは、旭川では、踊りの総称として使われる。伝承では、大雪山へ狩りに行ったコタンコㇿクㇽ(村おさ)が、ツルの巣篭りを見て、鳥の母性愛を踊りに表したものと言われている
イフンケ(十勝幕別地方)子守歌。「音を出してこどもをあやす」という意味
サロルンカムイ リㇺセ(釧路地方)鶴の舞。恋愛中の雌雄の丹頂鶴が、叫び、歌い、舞っている姿を模した踊りと言われている
エッサー ホーホー(釧路地方)(ポロ リㇺセ)輪踊り。大勢が輪になって踊るもので、何度か動作を変えて踊り変化することから別名、踊り比べとも言われる