野付半島はなぜ先端部だけ別海町なの?飛び地である理由に迫る

地図で道東、野付半島のところを見てみてください。野付半島はどこの自治体に属するでしょうか。答えは2つの自治体です。付け根付近は根室管内標津町、先端部分を含め大部分は別海町の飛び地です。なぜ、こんなややこしいことになっているのでしょうか。野付半島の飛び地の謎に迫ります。

根元の茶志骨村が野付郡を離脱したのがはじまり

野付半島の行政境界線

野付半島は日本最大の砂嘴で、延長距離は約28kmもあります。陸部分の付け根は標津町にありますが、途中から別海町になります。別海町にとっては、野付半島先端部を飛び地として持っていることになります。では、なぜ飛び地になったのか……。

野付半島の道道950号線

時代は1923年(大正12年)にさかのぼります。この年の3月まで野付半島はすべて野付郡に属し、根元側は野付郡茶志骨村、先端側は野付郡野付村でした。

同年4月1日、二級町村制施行にあたり、野付村は同じ別海村など6村で合併し、野付郡別海村(現在の別海町)を発足。一方の茶志骨村は、標津に近いこともあって標津村など6村で合併し、標津郡標津村(現在の標津町)を発足させました。

これにより、茶志骨村の区域が野付郡を離れることとなり、根元が標津、先端が別海となり、郡の境界も変更されることになったのです。

しかし、もともと合併前の野付村と茶志骨村の境界線があいまいだったため、野付半島のほぼ全体の所属を巡って紛争が起きてきました。

一度目の紛争は一時的に解決

まず、1950年(昭和25年)の改正漁業法施行に伴い、一町村一海区を設定する両村海区の境界を決定するに当たって紛争が起こりました。この時は、海区を早急に決定しなければならなかった関係で、とりあえず漁場図をもとに東経155度15分を境界線にすることで解決したわけです。

その後、一町村一海区設定案が撤回され、両村の区域をあわせて一海区とすることになりました。そのため、境界線の問題は一時的に解消しました。

二度目の紛争で境界線が確定

しかし、3年後の1953年(昭和28年)、再び紛争が生じました。今度は、半島部の開拓財産の貸付、国有林野の処分を巡っての紛争でした。

そこで両村が調査し、別海村は半島根元付近を、標津村は半島先端部を境界だと主張しました。

  • 別海村の主張
    野付郡茶志骨村標津郡戸長役場管轄下に置かれていた当時の野付村と茶志骨村の境界が、半島根元付近のポンノウシだった(1884年(明治17年)10月13日告第47号)
  • 標津村の主張
    茶志骨漁業協同組合設立認可書に添付されていた地元水面図の漁業権区域が、半島先端部の野付村と茶志骨村の境界であった(1912年(明治45年))

両村の主張が食い違ったことから、この問題は根室支庁(当時)に持ち込まれました。その結果、1923年(大正12年)にさかのぼって郡調書の記録を採用することになりました。それによると、野付半島は東経145度15分が境界線とされていたことが分かりました。

根室支庁の調査結果
(1) 1923年の「郡整理ニ関する調書」では、野付郡茶志骨村を標津郡標津村に編入することで東経145度15分が境界となるとされている。つまり、当時すでに野付村と茶志骨村の境界がそうであったと認められる。
(2) 地理調査所発行の地形図、道農地開拓部の未開地地図と漁業図等はすべて両村境界を東経145度15分としている。

こうした調査結果を踏まえて、1953年(昭和28年)12月15日、東経145度15分を境界線とする「町村界査定に関する協定書」が両村で結ばれました。それに先立つ12月1日に、両村と根室支庁関係者が境界査定で「東経145度15分線経度標」を現地で発見しており、この地点が境界線であることを確認しました。

そして現在

それ以来、野付半島は東経145度15分を境界線、ということで現在に至っているというわけです。わざわざ飛び地にしたのではなく、合併と境界線紛争の歴史をたどって決定されていたのです。

野付半島の境界線。標津町側
野付半島の境界線。別海町側

現在、道道950号線の標津町側、国道244号との交点から約7.1km(車で約7分)の地点に、標津町と別海町の境界線があることを示すカントリーサインが掲げられています。なぜここに境界線が引かれたのかの歴史を小ネタに、野付半島の旅を楽しんでみてください。

参考文献:『標津町史』『別海町史』
※本稿は2010年11月22日の記事をリニューアルしたものです。

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