北海道を味わう

ギンナンソウって知ってる?稚内市の極寒の海で行われる漁に密着!

「ギンナンソウって知ってる?」

唐突に聞かれたのは正月休みが明けて過ぎてすぐのこと(2017年)。まったく聞いたことがなかった「ギンナンソウ」。調べてみると、北海道の一部だけで採れる海藻で、1月中旬から3月ぐらいまでしか収穫できないのだとか。「取材してみよっか?」と編集長。愛あるその一言で極寒の海に向かうことになったのでした。

過酷な銀杏草漁に密着取材を敢行

ギンナンソウって知ってる?稚内市の極寒の海で行われる漁に密着!

収穫できる期間が短いこと、一部の地域でしか採れないことなどから、市場にはあまり出回っていない「ギンナンソウ」。北海道民でも知らない方が多いようです。ちなみに「ギンナンソウ」を漢字で書くと「銀杏草」になります。

銀杏草の産地として有名なのが稚内だという話を聞き、まずは稚内に向かいました。着いてみると、稚内の銀杏草はほとんど採り終えてしまっていて、今は抜海(ばっかい)の港で採っているとのこと。すぐに抜海の港に移動しました。

▼凍てつく極寒の海で行われる銀杏草漁業
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▼海中の銀杏草
ギンナンソウって知ってる?稚内市の極寒の海で行われる漁に密着!

銀杏草の漁場は、水深0.2~1mの干出しない岩盤域。ウェットスーツを着用した漁師さんが、めがねと呼ばれている専用の水中めがね(覗きめがね)で水中を確認し、タモ網でかっちゃきながら(北海道弁「かっちゃく」:「引っかく」のこと)採取します。

気温はマイナス7~8℃。見ているだけで凍えてしまうような寒さの中、漁師さんは黙々と作業を続けます。

寒さを紛らわすため、取材の合間にあたりをウロウロ歩いてみると、銀杏草を採っている場所の裏側では、野生のアザラシが悠々と泳いでいました。

▼野生のアザラシ。漁師さん曰く、漁場を荒らす厄介者なんだそう
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動画で見る銀杏草漁の様子

貴重な銀杏草を試食してみた

▼採取された銀杏草
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銀杏草で食べられるのは葉の部分のみ。砂をきれいに洗い落として根の部分をハサミで切ります。少ないながら市販されているものは、それらをすべて手作業で行い袋詰めして出荷します。収穫量が少ないだけでなく、手間がかかるため、どうしても価格が高くなってしまうのだそうです。

▼海の中は寒いを通り超えて痛いの世界
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漁師さんにお話を伺うと、収穫期間が短いし、手間が多いので銀杏草漁をメインにしている人はいないそうです。取材日は好天でしたが、海が荒れて採れない日も多いのだとか。そのため、それだけでは仕事にならないということでした。

▼銀杏草漁の話をしてくださった倉(くら)俊一朗さん(37歳)
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銀杏草はどういった料理に使われるのでしょうか?

「味噌汁か酢のものだけど、うちでは味噌汁だな」と漁師さん。「これから帰って味噌汁作るから食べてくかい?」とありがたいお誘いを受け、漁師さんの家で味噌汁を振る舞っていただきました。

▼銀杏草の入った味噌汁
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茶色い銀杏草は、熱い味噌汁に入れるとみるみる色が変わって緑がかってきます。

おもしろいのは、熱が加わることで色だけでなく食感もどんどん変化していくこと。コリコリと歯ごたえのあった食感は、味噌汁を飲み進めるごとに柔らかくなっていき、飲み終わる頃には溶けてしまいそうなほどトロトロになっていました。

いかにも新鮮なコリコリの食感も、海藻ならではの粘り気が楽しめるトロトロの食感も、どちらも絶品。筆者はすっかり気に入ってしまいました。

食べたくなったらどこで入手できる?

ただ、貴重な銀杏草だけに、食べたいと思った場合はどこで手に入れることができるのでしょうか。

シーズン中は、稚内のスーパーなどで生の銀杏草を買うことができるそうです。また、稚内駅から南へ600mほど進んだ海沿いに「うろこ市」(稚内市中央5丁目6-8)という魚屋さんがあり、その中の「うろこ亭」というお店で銀杏草を食べることもできます。

メニューには銀杏草という名称はついていませんが、「たちかま入り味噌汁」(200円)に入っているので、銀杏草を食べてみたいという方は注文してみてください。

▼新鮮な海の幸を売っている「うろこ市」
ギンナンソウって知ってる?稚内市の極寒の海で行われる漁に密着!

うろこ市では、シーズン中は生の銀杏草を買うことができます。また、シーズン以外でも年間を通して冷凍した銀杏草も販売しています。

▼冷凍して販売されている銀杏草
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稚内からの帰路、立ち寄った道の駅でも乾燥ものの銀杏草が売られているのを偶然発見しました。調べてみるとこちらは利尻で作られたものでした。

後日、利尻の漁協に伺ったところ、利尻では冷凍ものの銀杏草は作っておらず、生のものと乾燥のものだけ扱っているそうです。ちなみに稚内の漁協によれば、稚内では生のものと冷凍のものだけしか扱っていないそうです。

▼乾燥ものの銀杏草
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なかなか売っていないので、手に入りづらい銀杏草。売られているのを見つけたり、稚内へ行くことがあったりしたときには、ぜひ機会を逃さずに食べてみてください。ほかの海藻にはない銀杏草独自の食感と味わいに、きっと驚くこと請け合いです。

筆者について

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石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。