江差線は、五稜郭駅から江差駅までを結ぶ路線である。総延長は79.9kmで、函館市、北斗市、木古内町、上ノ国町、江差町を通る。江差線は大きく二つの区間に分けられる。一つは函館都市圏輸送、そして北海道と本州を結ぶ津軽海峡線を兼ねている五稜郭から木古内までの電化区間37.8km区間、そしてその先、木古内から終着駅である江差までの非電化区間42.1km区間である。駅の数は21ある。
北海道新幹線の並行在来線である五稜郭駅~木古内駅間は、2016年3月に北海道新幹線が先行開業した後に第三セクターとして存続するものの、木古内駅~江差駅間は2014年5月12日に廃止される(2013年3月28日沿線自治体同意、4月26日国土交通省に廃止届出済、最終運行は5月11日)。そのため、ここでは江差線のうち、廃止される木古内~江差間を中心に、江差線の概要や歴史を紹介する。
江差線(木古内~江差間)の概要
より大きな地図で 江差線 を表示
江差線の最奥部である木古内~江差間は非電化区間である。距離はフルマラソンの距離に相当する42.1km、10駅。木古内町の木古内駅を出てすぐ津軽海峡線と分かれ、山間部に入っていく。渡島鶴岡駅、吉堀駅の二つの駅(いずれも木古内町)を過ぎると、次の神明駅(上ノ国町)まで江差線最長の駅間距離(13.2km)となり、山間部の峠を進む。その後は湯ノ岱駅、宮越駅、桂岡駅、中須田駅、上ノ国駅と天の川沿いに日本海に向かって下っていく。上ノ国町中心部のある上ノ国駅を過ぎると日本海沿いを終着駅である江差駅(江差町)までノンストップで駆け抜ける。
運行本数は1日6往復ですべて普通列車だが、渡島鶴岡駅・吉堀駅・神明駅では一部の列車が停車しない。全区間の所要時間は1時間強。2013年5月現在のダイヤは下記のとおりである(最後の駅は着時刻)。
江差線(木古内~江差間)のダイヤ
▼木古内→江差
(函館) 木古内 渡島鶴岡 吉堀 神明 湯ノ岱 宮越 桂岡 中須田 上ノ国 江差 | 06:43 通過 通過 07:12 07:18 07:28 07:32 07:36 07:41 07:49 | 06:53 08:08 08:12 08:17 08:39 08:46 08:56 09:00 09:04 09:08 09:17 | 10:27 11:48 11:52 11:57 12:19 12:24 12:35 12:39 12:42 12:47 12:55 | 14:44 14:48 14:53 15:15 15:20 15:31 15:35 15:38 15:43 15:51 | 16:21 17:51 17:55 18:00 18:22 18:27 18:38 18:42 18:45 18:50 18:58 | 19:31 20:43 20:47 20:52 21:14 21:19 21:30 21:34 21:37 21:42 21:50 |
▼江差→木古内
江差 上ノ国 中須田 桂岡 宮越 湯ノ岱 神明 吉堀 渡島鶴岡 木古内 (函館) | 06:44 06:51 06:56 06:59 07:03 07:19 07:24 07:45 07:50 07:54 09:25 | 08:09 08:17 08:21 08:25 08:29 08:45 08:50 09:11 09:16 09:20 10:21 | 10:27 10:34 10:39 10:42 10:46 10:58 通過 通過 通過 11:30 | 13:07 13:14 13:19 13:22 13:26 13:38 13:43 14:04 14:09 14:13 16:21 | 16:16 16:24 16:28 16:32 16:36 16:47 16:52 17:13 17:18 17:22 | 19:08 19:15 19:20 19:23 19:27 19:39 19:44 20:05 20:10 20:14 21:16 |
江差線(木古内~江差間)の歴史
江差線は、1913年9月15日に上磯軽便線・五稜郭駅~上磯駅間(8.8km)が開業したのがはじまり。1930年10月25日に上磯駅~木古内駅間(29km)が延伸開業した。その後、江差に向けて、1935年12月10日に木古内駅~吉堀駅~湯ノ岱駅間(21.4km)を、1936年11月10日に湯ノ岱駅~桂岡駅~上ノ国駅~江差駅間(20.7km)を延伸開業し全線開通、江差線に改称した。全通当時は木古内~江差間は6駅しかなかったが、1955年3月5日に中須田駅、1957年1月25日に神明駅、1964年12月30日に渡島鶴岡駅・宮越駅を新設し、全10駅となった。
かつて函館~江差間は普通列車だけではなく、準急(のちに急行に昇格)が運転されていたこともある。それは1960年10月1日のことで、準急「えさし」(一両編成)が誕生した日である。1963年になると、準急「おくしり」の名が加わり(1966年9月まで)3往復体制となった(途中停車駅:木古内・上ノ国、後に上磯)。1968年10月1日には、準急「えさし」は急行「えさし」に昇格して運行されるようになる。それまで3往復運転されていた急行「えさし」も1970年代になると陰りが見え始め、1972年に2往復、1973年に1.5往復と減便され、ついに1980年10月1日に廃止されることとなった。
1990年9月1日には同区間でワンマン運転がスタート。北海道新幹線建設が始まると並行在来線の扱いを巡り廃止するのかどうするのかで揺れることとなる。JR北海道は、特に利用者者の少ない江差線木古内以遠を廃止・バス転換すると2012年8月7日に発表、2013年3月28日に地元沿線自治体3町の首長が同意、同年4月26日に2014年5月12日に廃止すると国土交通省に届け出た。一方の五稜郭~木古内間は第三セクターでの生き残りを図る。