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50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

札幌国際芸術祭(SIAF)2017では、現在、北海道立三岸好太郎美術館開館50周年記念特別展として「大友良英アーカイブ お月さままで飛んでいく音+三岸好太郎ワークス 飛ビ出ス事ハ自由ダ」という展覧会が開催されています。

この長~いタイトルの展覧会では、SIAF2017のゲストディレクターである大友良英氏と札幌出身の画家である三岸好太郎、それぞれの作品が展示されているというのですが、さて、その接点とは? 一体どんな内容なの? 気になるところを大友氏本人に直撃しました。

SIAF2017のゲストディレクター大友良英氏に訊く!

50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

「ぶっちゃけ、何も接点がないんですよ」
と開口一番、本当にぶっちゃけて仰った大友良英氏。

なんでも、三岸好太郎美術館の学芸員が、大友氏の展示をやりたいという熱意から実現した展覧会ということです。

「でもね、札幌国際芸術祭という大きな枠組みの中で考えると、いわゆる通常の美術っていうのがほとんどないことに気づいたんです。中間領域のものとか特殊なものが多い中で、三岸さんの展示は、この芸術祭の中で本当の美術であり、いちばん芸術であるんじゃないかと思ったわけです」(大友氏)

三岸好太郎は札幌に生まれ、日本近代を代表する画家のひとりです。戦前、スタイルやテーマを目まぐるしく変えながら、わずか10年余りの画業、31歳という若さで亡くなりました。

▼札幌市中央区にある三岸好太郎美術館
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

「今回は1階が僕のアーカイブ、2階が三岸さんの作品という形で、展示されています。1階の、全然芸術じゃない音楽の展示と、2階の本当の美術。音楽家と絵描き。ちょうどこの展覧会の1階と2階の間にあるものが、今回の札幌国際芸術祭2017なんじゃないかと思います」(大友氏)

▼熱を込めて語ってくれた大友良英氏
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

音楽と絵画、それぞれの分野でそれぞれの表現を模索してきたふたりの軌跡。「何も接点がない」と大友氏は言うものの、きっとそこには高みを目指す者だけが放っている、共通する何かが存在するはずです。

大友+三岸、気になる展示の内容は?

大友良英氏の話を聞いた上で、いざ展覧会へ。まずは1階の大友良英アーカイブです。

▼大友良英作のサウンドインスタレーション
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

まずは大友氏によるサウンドインスタレーションが、目を引きます。室内や屋外に音響を設置することで、その空間や場所、環境を体験させる表現形態なのだとか。まさにその場に立って、音に触れて、感じることでしか、この作品を知ることはできません。

▼貴重な過去作品の筆跡が!
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

大友氏がプロの音楽家として最初に手がけたという、映画音楽の譜面も展示されています。
「これがなかったら『あまちゃん』に行き着くことはありませんでした」(大友氏)

▼聴くこともできる過去作品の数々
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

アーカイブらしく、大友氏の過去の作品もずらり並びます。中には高校時代の作品や、中学時代の日記まで!

▼音楽家・大友良英をつくりあげた作品群
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

また、大友氏が過去に影響を受けた作品も展示されています。ジャンルは多岐にわたり、興味深いところです。

▼展示の解説をその場で書き足す大友氏
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

ちなみに展示内容は少しずつ変わっていくらしく、初日と最終日では、もしかするとかなり違ったものになっているかもしれないとのことでした。

▼三岸好太郎の絵画が並ぶ2階の展示
50周年の三岸好太郎美術館で“音楽+美術”の展覧会開催!その思惑とは?

2階に上がると、1階とはまったく趣の異なる空間が広がっています。音を全身で感じる階下とは別世界の、無音で静謐な絵画の世界。若き画家の情熱は、しかし、本当に無音で静謐なのでしょうか。もしかすると、音楽以上に饒舌に、観る者に語りかけてくるかもしれません。

「世間的に立派だと思われる作品のヒエラルキーではなく、あなた自身の歴史でアートとか音楽を見られませんか、という問いかけが私自身の背景にあるのです」

と語っていた大友氏。アートや音楽と対峙した時、その人自身のこれまでの蓄積が、何かを感じさせてくれるはず。大友氏の言うように、ヒエラルキーから心を解き放って、素直に芸術に触れてみませんか? 今回の展覧会は、そのきっかけになるかもしれませんよ。

[mima 北海道立三岸好太郎美術館 開館50周年記念 特別展] 大友良英アーカイブ お月さままで飛んでいく音 + 三岸好太郎ワークス 飛ビ出ス事ハ自由ダ
会期:9月2日(土) ~10月1日(日)
時間:9時30分 ~ 17時(入場は 16時30分 まで)
休館日:月曜、9月19日(火)  ※ 9月18日 (月・祝) は開館
会場:mima 北海道立三岸好太郎美術館 (札幌市中央区北2条西15丁目)
観覧料:SIAFパスポート提示で500円/高校・大学生250円(通常料金610円/高校・大学生360円)小・中学生250円
主催: mima 北海道立三岸好太郎美術館 共催: 札幌国際芸術祭実行委員会/札幌市
公式サイト

大友 良英OTOMO YOSHIHIDE

音楽家。1959年、神奈川県横浜市生まれ。実験的な音楽からジャズやポップスの領域までその作風は多種多様、その活動は海外でも大きな注目を集める。また映画やテレビの劇伴作家としても数多くのキャリアを有する。近年は「アンサンブルズ」の名のもと、さまざまな人たちとのコラボレーションを軸に展示作品や特殊形態のコンサートを手がけると同時に、一般参加型のプロジェクトにも力を入れている。東日本大震災後は十代を過ごした福島でプロジェクトを立ち上げ、現在もさまざまな活動を継続中。2012年には、「プロジェクトFUKUSHIMA !」 の活動で芸術選奨文部科学大臣賞芸術振興部門を受賞。2013年、「あまちゃん」の音楽でレコード大賞作曲賞ほか数多くの賞を受賞している。2014年、独立行政法人国際交流基金アジアセンターとともに「アンサンブルズ・アジア」を立ち上げ、音楽を通じたアジアのネットワーク作りに奔走している。公式サイト

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)
開催期間:2017年8月6日(日)~10月1日(日)
公式サイト:http://siaf.jp/
北海道ファンマガジン特設ページ

筆者について

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石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。