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ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

20世紀を代表する彫刻家であるイサム・ノグチが最晩年に参加していたプロジェクト、それが札幌市東区にあるモエレ沼公園です。自然とアートが融合したノグチの遺作とも言うべきこの公園で、今年、札幌国際芸術祭2017が開催されています。なんでも、ノグチの視点を現代へとつなぐ作品群なのだとか。詳しい内容を探りました。

かつて不燃ゴミの最終処分場だった公園

ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

1988年に札幌を訪れたイサム・ノグチの目にとまったのが、すでに建設がはじまっていたモエレ沼公園でした。当時のモエレ沼は、不燃ゴミの最終処分場。ゴミの舞い散る大地に立ったノグチは、人間が傷つけた土地をアートで再生することが自分の仕事だと言い、モエレ沼公園計画に参加することを決意したそうです。

そんなノグチのインスピレーションに満ちた公園が、今を生きる作家のインスピレーションによって新たに再生されるというこの展覧会「RE/PLAY/SCAPE」、さっそく紐解いていきましょう。

松井紫朗《climbing time/falling time》

ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

モエレ沼公園といえば、大きなガラスのピラミッドを連想する人も多いことでしょう。「RE/PLAY/SCAPE」展の開催期間中、このピラミッドの中に、巨大な黄色いバルーンが登場します。内部は複雑な形の回路になっており、歩いていると時間や空間の概念が揺さぶられるような感覚になるかもしれません。

【松井紫朗プロフィール】
1960年、奈良県生まれ、京都市立芸術大学教授。多様な素材を用い、ユーモアと理知を備えた立体造形で注目を集める。ナイロン素材のバルーンを使った作品や、JAXAとの共同実験など、ジャンルにとらわれない幅広い活動を展開している。

大友良英+青山泰知+伊藤隆之《(with)without records》

ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

巨大バルーンと同会場に設置されるのは、約100台もの中古レコードプレーヤー。さらには、そのひとつひとつから不思議な音が流れています。それは、札幌市民が参加したワークショップで作られたレコードの乗っていないレコードプレーヤーから出る小さなノイズ音です。SIAF2017のゲストディレクター大友良英さんらが2005年から各地の美術館などで、その場に合わせて制作・展開してきた《without records》の新作です。

ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

【大友良英プロフィール】
1959年、横浜市生まれ。実験的な音楽からポップスまで多種多様な作風を持つ音楽家。2013年「あまちゃん」の音楽でレコード大賞作曲賞を受賞し、お茶の間でもその名を知られる存在に。

【青山泰知プロフィール】
1960年、旭川市生まれ。美術家として活動する他、ライブやDJなどの音楽活動も行う。大友良英とは、1995年よりコラボレーションを展開している。

【伊藤隆之プロフィール】
YCAM interLab R&Dディレクターとして、YCAM研究開発プロジェクト全般のディレクションを担当。「without records」では、プログラム設計など技術面を担っている。

伊藤隆介《長征 –すべての山に登れ》

ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

野外に目を移せば、小高い丘へと続く100台以上もの自転車が目にとまります。これらは、すべて札幌市の放置自転車だったもの。ガラスのピラミッド内に展示している廃棄物を使ったジオラマの映像作品《層序学》も含め、ゴミ処分場だったモエレ沼の歴史を思い起こさせる、廃棄されたものたちが生き生きと蘇るユニークな作品です。

ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

【伊藤隆介プロフィール】
1963年、札幌市生まれ。映像作家、美術作家。映画フィルムを産業的廃材としてコラージュ、モンタージュする実験映画や、ミニチュアセットと撮影映像を並置、比較するビデオインスタレーションなどを制作。国内外で多数の映像が上映されている。

ナムジュン・パイク《K-567》

1963年、秋葉原で買い集めた電機部品を使って作られたという、二足歩行のアートロボット《K-456》。世界ではじめて交通事故にあったこの作品の「娘」として誕生したのが、今回展示されている《K-567》です。

【ナムジュン・パイクプロフィール】
1932年ソウル生まれ、2006年マイアミで没。東京大学卒業後、現代音楽を学ぶべく渡独。1963年には世界初のビデオアート作品を発表するなど、精力的に活動してきた。1993年、第45回ヴェネツィアビエンナーレ金獅子賞受賞。

ARTSAT×SIAFラボ《Sculpture to be Seen from Space,Improvisation to be Heard from Space 宇宙から見える彫刻、宇宙から聞こえる即興演奏》

▼気球が高度32,000mで破裂した時の様子(7月に行われたARTSAT×SIAFラボの気球の打ち上げ実験より)
ガラスのピラミッドの中に巨大バルーン!? 今年はモエレ沼公園がアツい!

アートの舞台はモエレ沼公園を飛び出して、成層圏へと突入します。成層圏に気球を打ち上げ、そこにプログラムコードを送ることで音を生成するという、その名も「テレコーディング・パフォーマンス」を8月21日から25日の間で実施予定です。ガラスのピラミッド内の展示室では気球が取得したデータを用いた作品、電磁波を用いた彫刻作品も展示中です。

【ARTSAT×SIAFラボプロフィール】
久保田晃弘をリーダーとした、「衛星はメディアである」をモットーに、宇宙の文化芸術活用を推進するプロジェクトARTSAT:衛星芸術プロジェクトと、札幌市資料館を拠点に、札幌国際芸術祭の継続的な活動を目指すSIAFラボによる共同プロジェクト。プロジェクトマネージャーはアーティストの小町谷圭、展示のアーティスティックディレクターは平川紀道が担当している。

いかがでしょうか。上記したラインナップを見るだけで、胸躍る体験ができそうな予感がしませんか? アートは、実際に見て、触れて、体感してこそ。モエレ沼公園で、ちょっとした非日常を味わい、いつもとは違う視点で世界を見渡してみるのはいかがですか。

開催日:2017年8月6日(日)~10月1日(日)
休場日:9月9日(土)※花火大会開催のため
開催時間:10:00~17:00 ※土曜日、9月17日(日)は19:00まで
会場:モエレ沼公園 ガラスのピラミッドおよび園内(SIAF2017では、札幌芸術の森、円山エリア、まちなかエリアなど40ヶ所以上が会場です。各会場ごとに開場時間等が異なりますのでご注意ください)
料金:
当日券(パスポート)一般:2,200円(団体1,700円)、市民・道民:1,800円(団体1,700円)、高校・大学生:700円
当日券(個別鑑賞チケット)500円
※中学生以下無料
※障害者手帳等をお持ちの方および介助者(1名)無料
※団体は20名以上
チケット販売所および詳細
札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)
開催期間:2017年8月6日(日)~10月1日(日)
公式サイト:http://siaf.jp/
北海道ファンマガジン特設ページ

筆者について

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石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。