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道内最短の駅間も縁起の良い駅も廃止―留萌本線(留萌―増毛間)全9駅

JR北海道が留萌―増毛間(16.7キロ)を廃止すると正式に発表したのは2015年8月10日。留萌―増毛間延伸から95年でその歴史に終止符を打ちます。前のページでは同区間の95年の歴史を振り返りました。廃止に当たり8つの駅も廃止になります。どんな駅だったのか、全駅を紹介します。

道内最短の駅間が廃止に

留萌―増毛間で、駅も廃止されるのは留萌駅を除く8駅。瀬越駅、礼受駅の2駅が留萌市、阿分駅、信砂駅、舎熊駅、朱文別駅、箸別駅、増毛駅の6駅が増毛町に位置します。

留萌―増毛間は深川―留萌間に比べ駅間距離が比較的短く、留萌本線で最も駅間距離が短い信砂駅―舎熊駅間はわずか0.8キロ。これは道内のJR駅間としては最短でした。そのほか、礼受駅―阿分駅間が1.3キロ、舎熊駅―朱文別駅間が1.7キロ、朱文別駅―箸別駅間が1.3キロと短い駅間があります。また、ほとんどの駅において営業キロの設定が遅かった区間でもあります(1990年3月設定)。

道内最短の駅間も縁起の良い駅も廃止―留萌本線(留萌―増毛間)全9駅

それでは廃止になる全駅を紹介しましょう。

髪を守る縁起が良い入場券が大ヒット!終端駅「増毛駅」(ましけ)

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1921年11月5日延伸時に、旅客・荷物・車扱貨物営業を行う終端駅として開業。小荷物が多くその保管場所に困ったため1975年に駅舎が増築されました。

小荷物扱いの贈答用リンゴの発送が駅にとって貴重な収入源で、お歳暮時期にピークを迎えたといいます。また、歴代駅長がホームに花壇を整備し維持管理して、増毛の玄関口にふさわしい駅にしていたというエピソードも残っています。

1973年になると駅の入場券ブーム到来。駅開業60周年である1981年11月には月間最多14730枚を売り上げました。地元でも「増毛太郎」の絵を描いて駅前に掲げ、「『髪を守る縁起が良い入場券』を父親へのプレゼントに」とPRが活発でした。1979年にテレビ番組『クイズダービー』で「髪の毛が少なくなったからお守りにと入場券を買う人が増えている」と紹介されると、翌月以降も全国メディアで紹介されるようになり、一躍全国区になりました。また、1981年公開の映画『駅 STATION』でロケ地となったことでも有名になりました。

その一方で自動車普及の波が。毎年8月下旬にはでんぷん工場への出稼ぎ者の蒲団や荷物の取扱いが多くありましたが、1975年ごろにはトラックが運搬するようになったため貨物取扱い量は激減。1978年10月1日をもって車扱貨物の取り扱いを廃止し、転車台、貨物線、四番線、五番線、引揚線、荒荷線など構内線350メートル、ポイント7か所、開業時からあった貨物ホームの吹抜け倉庫(延長約32メートル)も撤去されました。駅構内が広く、道道増毛港線が大きく駅を迂回していたため、駅構内を横断して港や漁業組合に行く人たちが後を絶たなかったといいます。

1984年2月1日に増毛駅は無人駅に。キヨスクは1975年に閉店するも、2002年4月に旧事務所を活用した「そば処増毛」が観光シーズン限定で営業していました。2012年には「孝子屋(ここや)ぐるめ食品」がオープンし今もにぎわっています。駅廃止後は約8,000平方メートルの鉄道用地は増毛町に譲渡される予定です。

増毛の隣駅「箸別駅(はしべつ)」

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1963年12月1日、地元の人たちの便宜を図るため仮乗降場として新設、JR北海道が発足した1987年4月1日に正式な駅に昇格した無人駅です。カーブに位置する1面1線の駅で、列車一両の長さより短いホームが特徴。駅に至る公道がない状態で、スロープ式ホームで、待合所があります。

呪文ではない「朱文別駅(しゅもんべつ)」

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1963年12月1日、地元の人たちの便宜を図るため仮乗降場として新設、JR北海道が発足した1987年4月1日に正式な駅に昇格した無人駅です。1面1線の駅で、列車一両の長さより短いホームが特徴。踏切のすぐ横にあり、スロープ式ホームで、待合所があります。

開通時は有人駅だった!「舎熊駅(しゃぐま)」

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1921年11月5日延伸時に、旅客・荷物・車扱貨物営業を行う有人駅として開業。ニシン景気が去ると1960年9月に車扱貨物の取扱いを廃止、1984年2月に無人駅になりました。1面1線で、土のホームと駅前広場があり、1983年に増毛町教育委員会が駅前広場に変形自転車という遊具を設置、1985年12月に旧駅舎の跡に車掌車を転用した駅舎が設置されています。

開業30年後に約50メートルも移動した「信砂駅(のぶしゃ)」

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1963年12月1日、地元の人たちの便宜を図るため仮乗降場として新設、JR北海道が発足した1987年4月1日に正式な駅に昇格した無人駅です。1993年2月2日、信砂川災害改良工事のため増毛方向に43メートル移設され、それ以来プレハブの待合所がある、1面1線の駅です。なお、阿分駅との間の阿分トンネル留萌側100メートルは国道と接しており障害物なしで日本海を一望できる区間でした。

踏切上で停車するのがデフォルト「阿分駅(あふん)」

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1963年12月1日、地元の人たちの便宜を図るため仮乗降場として新設、JR北海道が発足した1987年4月1日に正式な駅に昇格した無人駅です。1面1線の駅で、列車一両の長さより短いホームであり、かつ踏切にかかって停車します。プレハブの待合所があり、ホームはスロープ式。

ちょっと高台「礼受駅(れうけ)」

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1921年11月5日延伸時に、旅客・荷物・車扱貨物営業を行う有人駅として開業。1960年に貨物取扱い、1984年に荷物取扱いを廃止し無人駅となり、1980年代には木造駅舎から車掌車を活用した貨車駅舎になりました。1面1線。

今はなき夏季限定の臨時駅「浜中海水浴場駅」

1989年7月23日に夏季限定で営業する臨時駅として新設開業しました。毎年7月下旬から8月上旬まで営業し、主に海水浴客の乗降に利用されました。夏季限定臨時駅という性格上、0面1線で、停車のたびにJR社員がタラップを取り付けて乗客を乗り降りさせていました。1995年には、夏限定で旭川駅―浜中海水浴場駅間を快速「かもめ」が1往復、上り普通列車が2本停車しました。1995年8月7日をもって営業を終了し、臨時駅としては廃止となりました。

海水浴場は目の前!「瀬越駅(せごし)」

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1926年7月1日に海水浴場客が乗降できるようにするため、夏季限定仮乗降場として新設。1969年10月1日に臨時駅に昇格し、1980年代に駅舎が貨車駅舎になり、廃止時にはコンクリート造り待合所でした。1面1線の無人駅。駅から海水浴場が見えます。

留萌本線終端駅になる「留萌駅(るもい)」

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1910年11月23日開業の有人駅。2面2線。留萌駅は廃止されませんが、留萌―増毛間廃止後は開業当時と同様、末端駅となります。

トンネルは阿分トンネルが一つ、踏切は山本踏切(礼受―阿分)、西村踏切(阿分―信砂)、池田踏切(阿分―信砂)、増毛妹背牛線踏切(信砂)、大沼踏切(信砂―舎熊)、中歌踏切(舎熊―朱文別)、朱文別踏切(朱文別)、第二札幌留萌線踏切(箸別―増毛)などがありました。

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お別れセレモニー実施

JR北海道は同区間廃止に伴い、12月4日15:05~15:41に増毛駅で、同日14:15~14:40に留萌駅で、「ありがとう留萌本線(留萌~増毛間)お別れセレモニー」を実施する予定です。

参考文献: 『留萌市史』『増毛町史』『増毛線建設概要』

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